給与所得で節税
給料で節税する
勤務先から受け取る給与や役員報酬、青色専従者給与(給料)などが、給与所得となります。- No.1400 給与所得 | タックスアンサー(国税庁)
- [平成27年4月1日現在法令等]1 給与所得とは 給与所得とは、勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。2 所得の計算方法 給与所得の金額は、次のように計算します。 収入金額(源泉徴収される前の金額)-給与所得控除額=給与所得の金額(1) 収入..
次に示す通り、給料にかかる所得税(給与所得)は、一定の税制優遇措置があるので活用を検討します。
給与所得の計算
給与所得は以下のように計算します。- 給与所得=給料-給与所得控除-特定支出
まず、給料から給与所得控除が差し引かれます。
- No.1410 給与所得控除 | タックスアンサー(国税庁)
- [平成27年4月1日現在法令等] 1 給与所得控除とは 給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次のようになります。 ただし、給与等の収入金額が660万円未満の場合には、次の表にかかわらず、
更に、特定支出がある場合、給与所得控除額の2分の1(給料が1,500万円を超える場合は125万円)を限度として、差し引くことが可能です。
- No.1415 給与所得者の特定支出控除 | タックスアンサー(国税庁)
- [平成27年4月1日現在法令等] 給与所得者が次の1から6の特定支出をした場合、その年の特定支出の額の合計額が、下記の表の区分に応じそれぞれ「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度がありま..
特定支出とは以下に掲げるものです。
特定支出を差し引く場合は、以下が要件となります。
- 給与支払者の証明書
- 確定申告(上記証明書の添付が必須)
給与所得の納税(源泉徴収・年末調整・確定申告)
多くの場合、給与所得については、勤務先による源泉徴収と年末調整で納税手続きが終了するので、確定申告する必要がありません。なお、年末調整は、勤務先に下記書類を提出していることが要件となります。
- 給与所得者の扶養控除等申告書
- 給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告
- No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期限 | タックスアンサー(国税庁)
- [平成27年4月1日現在法令等](概要) 給与所得者の扶養控除等申告書等の提出を受けた源泉徴収義務者は、その申告書等を7年間保存しなければなりません。(保存期間) その申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する必要があります。
ただし、確定申告が必要なケースもあります。
- No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 | タックスアンサー(国税庁)
- ※ 東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについてをご覧ください。[平成27年4月1日現在法令等] 大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額..
以下のいずれかに該当する場合、勤務先が年末調整をしていても確定申告しなければいけません。
- 給料が2,000万円を超える場合。
- 給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超える場合。
- 同族会社から貸付金の利子等を受け取っている役員。
- 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている場合。
- 源泉徴収義務のない者から給料を受け取っている場合。
給与所得から除外して節税する
給与所得には、給料や賞与のほか、残業手当や住宅手当等の各種手当、食事等の現物支給、旅費手当などが含まれます。- No.2508 給与所得となるもの | タックスアンサー(国税庁)
- [平成27年4月1日現在法令等]1 概要 給与所得とは、使用人や役員に支払う俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有するものをいいます。 また、青色専従者給与も、給与所得となります。2 手当 役員や使用人に支給する手当は、原則として給与所得となります..
ただし、以下のものについては、一定の要件を満たすことにより、給与所得から除外されます(非課税)。勤務先サイドでは、経費計上できるので、非常に有利な節税と言えます。
上記2.については、日当の金額や要件等に関して客観性を担保するために、旅費規程で明文化しておくことを強くお勧めします。
- 旅費規程で節税
- 旅費規程を作成して節税します。日当や宿泊料などを節税するためには、旅費規程の作成と適切な運用が必要です。
上記4.については、食事代の金額や要件等に関して客観性を担保するために、福利厚生規程で明文化しておくことをお勧めします。
- 飲食代を経費化して節税
- 飲食代を経費化して節税する。会議費や交際費、旅費交通費、福利厚生費になるかもしれません。
役員賞与に注意
賞与も給与所得として課税されます。ところが、原則的に役員賞与は法人税では必要経費になりません。そのため、役員賞与は節税に向いていません。この場合、事前確定届出給与を役員賞与のように活用することや、従業員兼務役員に従業員分の賞与を支給するなどの節税方法をお勧めします。
- 役員報酬(事前確定届出給与)で節税
- 事前確定届出給与を役員賞与のように活用して節税する。事前確定届出給与の要件や注意点。
- 従業員兼務役員で節税
- 従業員兼務役員で節税する。兼務役員になれないケースや労働保険の加入、従業員分の給料・賞与・退職金について。
みなし役員に注意
役員賞与については「みなし役員」にも注意が必要です。実質的に法人経営に従事していれば、登記上の役員でなくても、法人税においては役員とみなされます。そのような「みなし役員」に給料を支払うと、役員賞与と認定されて、非常に不利な扱いを受けます。- 法人税法施行令第七条(役員の範囲) 第一編 総則|法人税法施行令
- 法人税法施行令第七十一条(使用人兼務役員とされない役員) 第十目 役員の給与等(第六十九条―第七十二条の三)|法人税法施行令
- 第1款 役員等の範囲|法人税法
社会保険の負担増に注意
役員報酬の給与控除を活用して節税する場合、社会保険の負担増に注意する必要があります。給料が増えると社会保険の負担が増えます。更に、社会保険は労使折半なので、同族会社の場合は法人負担分も考慮しなければいけません。
確かに、社会保険は所得から全額控除されますし、老後の受給額も増えます。ですが、確実にキャッシュは流出するので、資金繰りを含め、総合的な損得勘定を考えた方がいいと思います。
関連する節税対策ツール
給料(特に役員報酬)が利益調整手段として使われるケースが多々あります。当然ながら税務署は、恣意的な運用について目を光らせています。そのため給料に関する規程を作成し、適切に運用することが重要になります。
役員報酬規程で節税(雛形)では、役員報酬について取り上げているのでご活用ください。
- 役員報酬規程で節税(雛形) おすすめ
節税に直結する役員報酬規程サンプルです。関連する節税対策情報やタックスアンサー・裁決事例・判例等を簡単に確認できます。
役員報酬については議事録のサンプルも用意しているので、合わせてご活用ください。
- 定期同額給与の議事録で節税(雛形) おすすめ
節税に直結する定期同額給与に関する議事録のサンプルです。関連する節税対策情報やタックスアンサー・裁決事例・判例等を簡単に確認できます。
関連する節税計算機
- 節税計算機:給与所得
- 給与所得について納税額や節税額を試算します。
関連するタックスアンサー
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関連する裁決事例
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- リース業を営む者が、リースの用に供していた機械等の資産を譲渡したことによる所得の所得区分は、譲渡所得には該当せず、事業所得に該当するとした事例
- 請求人の絵画の売買に係る業務については、人的、物的設備が備わっておらず、請求人が本件絵画業務に費やす精神的、肉体的労力は低く、自己の危険と計算における企画遂行性にも乏しいことが認められ、また、その営利性も極めて乏しいことから、本件絵画業務は事業所得を生ずべき事業としての社会的客観性を備えたものには該当しないとした事例
- 開業に際して事業関係者から受領した祝金は、事業の遂行に付随して生じた収入であるから事業所得に該当するとした事例
- 診療所開設遅延に係る本件和解金は、請求人の心身、資産に加えられた損害を補てんする性質のものではなく、本来所得となるものや得べかりし利益を喪失した部分を受領したもので、請求人の業務の遂行により生ずべき事業所得に係る収入金額に代わる性質を有するものと認められるとした事例
- 金銭貸付けに係る所得が事業所得に該当するとの請求人の主張を認めず、当該所得は雑所得に当たると認定した事例
- 事務所の移転に伴い受領した金員の一部は、請求人の事業所得に係る必要経費を補填する金額であると認められるものの、その余の部分は、事業所得の総収入金額に算入すべき金額ではなく、また、継続性及び対価性を有しないものであることから、一時所得に区分するのが相当であるとした事例
- 大学教授が他大学から受ける非常勤講師報酬は雑所得ではなく給与所得であるとした事例
- 病院等の非常勤医師として受けた金員は給与所得の収入金額に当たるとした事例
- 請求人の勤務する会社が属するグループを支配する外国法人から、請求人に無償で同法人の株式を取得できる権利が付与されたことに基づいて生じる経済的利益は、当該権利が確定する諮問委員会の決定日が収入すべき日であり、雇用契約又はこれに類する原因に基づき提供された非独立的な人的役務の提供の対価として給付されたものとして、給与所得に該当するとした事例
- 請求人が医師である父に支払った給与の額は不相当に高額であるとは認められないとして、高額部分について必要経費を否認した原処分を取り消した事例
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