製造に係る技術導入契約に基づいて外国法人に対して支払った金員が所得税法第161条第7号イに規定する工業所有権等の使用料に該当するとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2010/05/13 [所得税法][非居住者及び法人の納税義務] 請求人は、外国法人であるD社及びE社との間で締結した○○機器に係る技術導入契約に基づき、契約当初及び契約譲渡後に支払った払込金は、独占販売権の対価であり、ロイヤリティは別途販売実績に応じて支払うこととされているから、所得税法第161条第7号イに規定する「工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの」の使用料には該当しないから、本件納税告知処分は違法である旨主張する。
しかしながら、当該技術導入契約においてD社及びE社から請求人に対し、規制当局の承認を取得する権利や○○試験の実施、規制当局の承認の取得等のために技術情報を使用する権利が許諾され、請求人は実際にD社及びE社が独自に有する特定の技術についての情報を含む有用な情報の提供を受けていることからすると、請求人はライセンサーであるD社及びE社から開発権の許諾を受け、技術情報の提供を受けるための対価として払込金を支払っていたものとみるのが相当である。そして、提供された技術情報には○○機器の製造工程についての独自に開発された情報や特別に技術的価値を有する知識が含まれていることから、この技術情報は、所得税法第161条第7号イに規定する「特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの」に該当し、請求人はD社及びE社から開発権の許諾に基づき技術情報の提供を受けて、当該技術情報を使用しているものと認められることから、当該払込金は、「技術等に係る実施権若しくは使用権の設定、許諾」の対価と認められ、所得税法第161条第7号イに規定する使用料に該当する。
《参照条文等》所得税法第161条第7号イ所得税基本通達161−22、161−23日P租税条約第○条、第○条日Q租税条約第○条、第○条
平成22年5月13日裁決
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