青色申告(所得税:推計課税の禁止)で節税
青色申告(所得税:推計課税の禁止)で節税する。恣意的な推計課税を避けることができますが、青色申告の承認の取消しに注意を払う必要があります。

役員退職金(役員慰労金)で節税

退職所得控除を活用して役員退職金で節税する。死亡退職金で相続税を節税。役員退職金で節税するには、役員退職慰労金規程の作成と適切な運用をお勧めします。
【最終更新】(※情報登録:2015/11/05)
【カテゴリ】法人税
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役員退職金(役員慰労金)で節税する

 役員が退職する際、役員退職金を支給します(死亡時には弔慰金も支給可能)。
No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得) | タックスアンサー(国税庁)
[平成27年4月1日現在法令等]1 退職所得とは 退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいい、社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金なども退職所得とみなされます。 また、労働..

 退職金にかかる所得税(退職所得)は、2分の1課税などの税制優遇措置があるので最大限活用します。

 役員退職金として税務処理するためには、以下の要件を満たす必要があります。
  • 実際に支給すること。未払金計上では原則として退職金に含まれない。
No.5208 役員の退職金の損金算入時期 | タックスアンサー(国税庁)
[平成27年4月1日現在法令等]  法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金の額に算入されます。その退職金の損金算入時期は、原則として、株主総会の決議等によって退職金の額が具体的に確定した日の属する事業年度となります。  ただし、法人が退職金を実際に支払った事業年度において、損金..

 退職金の原資として経営者保険少人数私募債の活用が考えられます。
役員退職金と経営者保険を組み合わせて節税
役員退職金と経営者保険を組み合わせて節税する。貯蓄型定期保険(低解約払戻金型保険等)と役員退職金の活用。デメリットや回避策(リスク軽減策)。
少人数私募債で節税
少人数私募債で節税する。少人数私募債のメリットや制限、役員退職金の原資、小分けして毎年贈与、信託して元本受益権を贈与、信託した元本受益権を小分けして毎年贈与。

役員在任期間5年超で節税する

 2013年(平成25年)分以後、役員在任期間が5年以下の場合、退職所得の計算は以下のようになります。
 一般的な退職所得であれば、上記算式から更に2分の1が控除されます。すなわち通常と比べて退職所得が2倍になるので、これでは退職所得の節税メリットを最大限生かすことができません。
 役員退職金を支給する場合は、役員在任期間が5年を超えてからにするべきでしょう。
 

役員退職金で相続税を節税する-1

 役員の死亡時に、親族に対して支払われる死亡退職金は、相続財産とみなされ、一定の非課税限度額が設けられています。
No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金 | タックスアンサー(国税庁)
[平成27年4月1日現在法令等]被相続人に支給されるべきであった退職手当金や功労金などを受け取ったときは相続税の課税対象になります。1 相続財産とみなされる退職手当金等  被相続人の死亡によって、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(これらを..

 一般的に、死亡退職金の非課税限度額は以下のようになります。
  • 非課税限度額=500万円×法定相続人の数

 ただし、以下のような要件があります。
  1. 役員死亡後3年以内に支給が確定した役員退職金に限る。(役員死亡後3年超で支給が確定した役員退職金は、受け取った遺族が一時所得として申告。所得税基本通達34-2)
  2. 法定相続人が役員退職金を受け取る必要がある。
  3. 法定相続人の数には相続を放棄した人を含む。
  4. 法定相続人に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人まで。
 

役員退職金で相続税を節税する-2

 相続税の節税効果は他にもあります。
 多額の役員退職金を支給すると、会社の純資産だけでなく、自社株の評価額も大幅に減少します。会社の株式は相続財産になるので、その節税効果は大きなものがあります。

 役員退職金は、法人税や所得税だけでなく、相続税においても非常に優れた節税対策と言えます。
 

役員退職慰労金規程で節税する

 過大な役員退職金については、役員賞与と認定されて非常に不利になります。国税当局による役員退職金の過大認定を避けるためには、役員退職慰労金規程の整備が不可欠です。

 一般的に役員退職金は次の算式で決まります。
  • 報酬月額×役員在任年数×功績倍率

 問題になりやすいのが「報酬月額」と「功績倍率」です。この2つについては、役員退職慰労金規程において具体的に定めておくべきです。

 特に報酬月額については注意が必要で、例えば、退任時の役員報酬に、役員在任中の功績が適正に反映されない場合が多々あります。例えば、代表取締役を引退して、役なしの取締役になり、報酬額が大幅に減額されたケースです。
 こういったケースに対処するためには、「役員在任中の最高定期同額給与とすることができる」旨の規定が盛り込まれた役員退職慰労金規程を整備しておく必要があります。

 役員退職金についてより詳しくは、第6款 過大な役員給与の額|法人税法第7款 退職給与|法人税法をご確認ください。

役員退職慰労金規程を適切に運用して節税する

 役員退職慰労金規程を作成しただけでは節税できません。役員退職慰労金規程の適切な運用が求められます。
  1. 定款に基づき、役員退職慰労金規程を作成(改訂)する。
  2. 役員退職慰労金規程に基づき、役員退職金の額を決定する。
  3. 役員退職慰労金規程に基づき、役員退職金を支給する。

 定款で社内規程を定めることの重要性については、定款作成時のポイントにおいて言及しているので参考にしてください。
 残りの2.~3.については、実際に運用することが大切です。例えば、取締役会や株主総会の開催が必要であれば、実際に開催し、必ず議事録を残します。また、役員退職金の支給基準については、常識の範囲内で定めておくことも必要です。

関連する節税対策ツール

 役員退職慰労金規程で節税(雛形)では、役員退職慰労金について取り上げています。
役員退職慰労金規程で節税(雛形)
節税に直結する役員退職慰労金規程サンプルです。関連する節税対策情報やタックスアンサー・裁決事例・判例等を簡単に確認できます。

 議事録のサンプルも用意しているのでご活用ください。
役員退職慰労金の議事録で節税(雛形)
節税に直結する役員退職慰労金に関する議事録のサンプルです。関連する節税対策情報やタックスアンサー・裁決事例・判例等を簡単に確認できます。

退職金の税金計算ツール(所得税・住民税)

 退職金は分離課税なので、税金は天引きされます(所得税:源泉徴収、住民税:特別徴収)。また、退職金を受け取る際、勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、退職所得控額等の優遇措置が適用されます。
税金シミュレーション
退職金:万円
勤続年数:
退職所得の受給に関する申告書: 
従業員/役員等:  (*役員等:法人役員・議員・公務員)

退職金の税金・差引支給額

項目金額備考
①退職金
②所得税源泉徴収
③住民税特別徴収
差引支給額①-②-③

関連するタックスアンサー

役員退職金(要件)

役員退職金(金額が妥当か否か)

関連する法令や通達等
法人税
法人税施行令
法人税施行規則
法人税基本通達
法人税:タックスアンサー
財産の評価:タックスアンサー

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