不動産所得の基因となる資産の取壊しにより生じた損失の金額が、所得税法第51条第4項に該当し、本件損失を不動産所得の必要経費に算入しないで計算したところの不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されるとした事例
[所得税法][必要経費][不動産所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2001/04/26 [所得税法][必要経費][不動産所得] 不動産の貸付けが不動産所得を生ずべき事業といえるか否かは、社会通念上、事業と言い得るか否かによって判断するのが相当と解されているところ、請求人の不動産貸付けは、[1]貸付物件は本件不動産のみで、その貸付先は請求人が主宰するK社のみであること、[2]本件不動産の賃貸料は請求人の預金口座に振込入金されており、賃貸料収入の受領等に係る役務の提供は極めてきん少であること、[3]本件建物の日常の清掃は、K社の従業員が行っていること、また、本件不動産に係る必要経費についても、本件建物の減価償却費以外には固定資産税があるのみで、その支払については、請求人の預金口座からの自動引き落としになっていることから、本件不動産に係る維持管理の程度は極めて低いと認められること、[4]本件建物の取壊しは、K社の営業方針に基づくものであると認められること、[5]請求人は生活の資金の大部分をK社の給与から得ていることなどを総合して判断すると、社会通念上、事業と称するに至る程度のものとは認められない。
したがって、その業務の用に供されていた本件建物の取壊しによる資産の損失の金額は、所得税法第51条第4項の規定が適用され、本件損失を不動産所得の必要経費に算入しないで計算したところの不動産所得の金額を限度として必要経費に算入される。
平成13年4月26日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 不動産所得の基因となる資産の取壊しにより生じた損失の金額が、所得税法第51条第4項に該当し、本件損失を不動産所得の必要経費に算入しないで計算したところの不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>必要経費>不動産所得)
- 平成14年1月4日の相続により取得した建物の減価償却費の計算及びその方法は定額法によるとした事例
- 不動産所得について青色事業専従者給与の必要経費算入を容認した事例
- 賃貸借契約について紛争を解決するために支払った和解金は不動産所得の必要経費ではないとした事例
- 土地取得のための借入金の利子のうち業務の用に供していなかった期間の支払利子は不動産所得の必要経費ではないとした事例
- 居住用兼賃貸用資産の譲渡代金と借入金とをもって居住用兼賃貸用資産を取得した場合における借入金利子のうち、賃貸用部分に対応する金額は不動産所得の金額の計算上必要経費に該当するとした事例
- 請求人が行った賃貸用マンションのシステムキッチン等の取替工事に係る費用は、当該マンションの価値を高め、その耐久性を増すことになると認められるから、修繕費ではなく資本的支出に該当するとした事例(平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成26年4月21日裁決)
- 請求人が代表取締役を務める同族会社に対し不動産の管理費として支払った金員は、証拠によれば、当該同族会社が行った管理業務の対価であると認められるとした事例
- 同族会社に支払った不動産の管理料について、所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》を適用せず、同族会社は管理行為を行っていないとして、所得税法第37条《必要経費》により、その全額の必要経費算入を認めなかった事例
- 新たに賃貸用として利用すべく準備している土地の固定資産税は、不動産所得を生ずべき業務について生じた費用とは認められないとした事例
- 不動産の貸付先に対する貸付金の貸倒れによる損失は、その不動産貸付業の遂行上生じたものではないから、必要経費とすることはできないとした事例
- 物納した土地上の賃貸用建物に係る本件解約損害金及び本件取壊し費用は、不動産所得を生ずべき業務について生じた費用には該当せず、譲渡費用に該当するとした事例
- 鉄筋コンクリート造り店舗共同住宅の外壁等の補修工事に要した金員は修繕費に当たるとした事例
- 賃借人のいる建物をその土地と共に取得した後、賃貸借契約の解除に伴い賃借人に支払った立退料は、土地の取得費に算入すべきであるとした事例
- 土地を貸付けし得る状態にあっても、それだけの理由でその土地に係る費用が必要経費とされるものではないとした事例
- 請求人が代表取締役を努める同族法人に対する建物の貸付けは、使用貸借であると認められることから、建物の貸付けによる所得には該当しないとして、本件建物に係る必要経費は認められないとした事例
- 税法の改正により減価償却資産の耐用年数が短縮された場合の減価償却費の処理方法については、明文の規定がなく理論により決するほかないとの請求人の主張が排斥した事例
- 平成13年3月の相続により取得した建物の減価償却費の計算及びその方法は定額法によるとした事例
- 不動産所得の金額の計算上、相続税の延納に係る利子税は、必要経費にならないとされた事例
- 請求人が管理業務を委託した同族会社は、請求人が必要経費に算入すべきと主張する管理費の額に見合う管理業務を行っていたと認められることから、その全額を必要経費に算入すべきであるとした事例
- 請求人は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した一部の経費について、不動産賃貸業の遂行上直接必要であった部分を明らかにしていないことから、当該経費を必要経費に算入することはできないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。