不動産所得の金額の計算上、生計を一にする親族に支払った土地賃借料は必要経費に算入されないとした事例
[所得税法][必要経費][不動産所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1999/06/14 [所得税法][必要経費][不動産所得] 請求人は、請求人の父は所得を有し生活費も毎月負担しており、同人と生計を一にしていないから、父に支払った本件地代は、不動産所得の金額の計算上、必要経費として認められるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、父と同一の家屋内に起居していること及び食事を共にするなど日常の生活を共にしていることからすれば、同人が所得を有し生活費を負担していたとしても、請求人と父が明らかに独立した生活を営んでいるとは認められず、また、本件全資料及び当審判所の調査によっても、請求人と父との間で家事上の共通経費について実費の精算が行われていること並びに事実上の支出に関して親族間における債権債務の発生及び決済の状況が明らかであることを認めるに足りる証拠資料はない。
そうすると、請求人と父は生計を一にしているとみるのが相当であるから、本件地代は、所得税法第56条の規定により不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されないことになる。
平成11年6月14日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 不動産所得の金額の計算上、生計を一にする親族に支払った土地賃借料は必要経費に算入されないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>必要経費>不動産所得)
- 保証債務の履行に伴う求償権の行使不能額は事業遂行上生じたものではないとした事例
- 請求人が管理業務を委託した同族会社は、請求人が必要経費に算入すべきと主張する管理費の額に見合う管理業務を行っていたと認められることから、その全額を必要経費に算入すべきであるとした事例
- 請求人が代表取締役を努める同族法人に対する建物の貸付けは、使用貸借であると認められることから、建物の貸付けによる所得には該当しないとして、本件建物に係る必要経費は認められないとした事例
- 賃借人のいる建物をその土地と共に取得した後、賃貸借契約の解除に伴い賃借人に支払った立退料は、土地の取得費に算入すべきであるとした事例
- 同族会社に対する本件委託業務は、不動産賃貸業の遂行上必要な業務とは認められず、かつ、同族会社が当該業務を履行したとする客観的な資料も認められないことから、請求人が本件契約に基づき不動産管理料を支払ったとしても、必要経費には算入されないとした事例
- 同族会社に支払った不動産の管理料について、所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》を適用せず、同族会社は管理行為を行っていないとして、所得税法第37条《必要経費》により、その全額の必要経費算入を認めなかった事例
- 業務用の固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課等は、当該固定資産の取得価額に算入されず、業務上の必要経費に算入されるとした事例
- 相続により取得した賃貸用建物については、中古資産としての耐用年数を適用することができないとした事例
- 請求人が耐用年数の短縮を求める理由は、本件建物自体の構造等に変化が生じて物理的、客観的に使用可能期間が短くなったという事由ではなく、取壊しの行われることが将来予定されているという本件契約当事者の取決めを理由とするものであるので、所得税法施行令第130条第1項に掲げる事由には該当しないとした事例
- 本件土地等は、貸付けの用に供されることが客観的に明らかとは認められないから、不動産所得を生ずべき業務の用に供されている資産には該当せず、本件土地等の取得に要した借入金利子等の額は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例
- 税法の改正により減価償却資産の耐用年数が短縮された場合の減価償却費の処理方法については、明文の規定がなく理論により決するほかないとの請求人の主張が排斥した事例
- 不動産所得の金額の計算上、相続税の延納に係る利子税は、必要経費にならないとされた事例
- 平成14年1月4日の相続により取得した建物の減価償却費の計算及びその方法は定額法によるとした事例
- 平成13年3月の相続により取得した建物の減価償却費の計算及びその方法は定額法によるとした事例
- 請求人は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した一部の経費について、不動産賃貸業の遂行上直接必要であった部分を明らかにしていないことから、当該経費を必要経費に算入することはできないとした事例
- 土地を貸付けし得る状態にあっても、それだけの理由でその土地に係る費用が必要経費とされるものではないとした事例
- 賃貸借契約について紛争を解決するために支払った和解金は不動産所得の必要経費ではないとした事例
- 請求人が行った賃貸用マンションのシステムキッチン等の取替工事に係る費用は、当該マンションの価値を高め、その耐久性を増すことになると認められるから、修繕費ではなく資本的支出に該当するとした事例(平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平成26年4月21日裁決)
- 新たに賃貸用として利用すべく準備している土地の固定資産税は、不動産所得を生ずべき業務について生じた費用とは認められないとした事例
- 譲渡契約の日以降も不動産所得を生ずべき業務の用に供される建物の未償却残高について、譲渡所得の計算上、取得費として既に必要経費に算入されていることから、譲渡の日以後生ずる不動産所得の計算上、減価償却費には算入されないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。