代物弁済により譲渡された農地につき、農地法による許可等の日付にかかわらず、引渡しがあったと認定される日をもって譲渡の時期とした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1994/12/22 [所得税法][収入金額][収入すべき時期] 原処分庁は、農地等の譲渡については、農地法の許可等のあった日又は農地等の引渡しのあった日のいずれか遅い日を譲渡の日と主張し、本件土地の譲渡所得の帰属年分について、代物弁済予約の完結権を行使したことによる所有権移転登記の原因日付が平成3年4月23日であり、本件土地の農地法第3条の規定による許可申請は平成3年3月30日にされ、同年4月23日付で許可を受けていることから、平成3年分であると主張する。
しかしながら、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものと解されているところ、本件土地は和解により代物弁済として債権者委員会へ引き渡されたものであり、[1]債権者委員会は昭和61年11月7日に代物弁済予約仮登記をしていること、[2]請求人は、和解による1,200万円の支払期日である昭和61年12月31日までに当該金員を返済できず、翌日から本件土地を引き渡したと認識していたこと、[3]債権者委員会は、平成元年8月ごろに本件土地を譲渡していること等から、本件土地の支配管理は昭和62年1月1日請求人から債権者委員会へ移転したものと認められるので、同日が本件土地の引渡しの日と認められる。
譲渡所得に係る総収入金額の収入すべき時期は、農地法所定の手続にかかわらず、本件土地の実体的支配の移転があった時期(引渡しの日)によることを相当とする。
したがって、所得の帰属年分に誤りがあり、その他について判断するまでもなく、課税処分の全部を取り消すべきである。
平成6年12月22日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 代物弁済により譲渡された農地につき、農地法による許可等の日付にかかわらず、引渡しがあったと認定される日をもって譲渡の時期とした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>収入金額>収入すべき時期)
- 土地の賃貸料につき増額要求する訴訟の係属中において供託された当該賃貸料の収入すべき時期は、供託された日であるとした事例
- 本件土地は、本件契約書に記載された引渡しの時期に関する条項の文言にかかわらず、本件契約の締結時に引渡しがあったと認定した事例
- 勤務先の株式報酬制度に基づいて支給された株式に係る給与所得の収入すべき日は、当該報酬制度による株式を無償で取得する権利(アワード)に係る株式が口座に入庫された日が相当と判断した事例
- 未分割遺産の譲渡に係る収入金額が譲渡時において確定していなかった旨の主張を退けた事例
- 外国為替証拠金取引における反対売買により決済が行われるまでの持高ないしは保有高について、営業日ごとの評価替により生じた為替差損益は、その時点で損益が確定するとした事例
- 退職年金の初回支給額振込通知書の送達が翌年であっても、その初回支給額は国家公務員共済組合法に定める支給日に確定するとした事例
- 利息制限法に定める制限利率を超える部分の利息及び遅延損害金は、現実の支払があった時点において事業所得の総収入金額に算入すべきであり、未収の場合には、制限利率の部分のみ総収入金額に算入すべきであるとした事例
- 医師の診療契約に基づく診療報酬債権は、患者に対して診療を行う都度、役務の提供が完了するものであり、医師が患者に対して診療を行った時期にその権利が確定すると解されるから、医師の事業所得の金額の計算上、診療報酬債権は、医師が診療を行った時期の属する年分の収入金額として計上すべきであるとした事例
- 収用裁決につき争訟が提起されている場合でも、当該収用に係る補償金は当該裁決の権利取得日の属する年分の譲渡所得の収入金額に当たるとした事例
- 請負契約に係る収入金額の収入すべき時期は、役務の提供の完了した日とした事例
- 1. 借地権利金の全額を年内に受領している場合のその借地権利金を譲渡所得の収入金額にみなされるときにおける譲渡所得の収入すべき時期は、借地権利金の全額を受領した年分であるとした事例2. 同族会社に支払った6億円の立退料は、譲渡費用に該当しないとした事例3. 審査請求中に義務的修正申告書を提出しなかったことが国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に該当するとした事例
- 時効により取得した土地に係る一時所得の収入金額の確定時期は訴訟において時効の援用をした日であるとした事例
- 国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対し損失補償金として一括で支払われた10年間の地代の収入すべき時期は、収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日及び損失補償金全額の受領の日の属する年分であるとした事例
- 適格退職年金制度の終了に伴い信託銀行が供託した年金基金の分配金として支払われる一時金に係る収入すべき時期は、当該制度の終了に関する裁判上の和解が成立した日ではなく、年金信託契約が解除された日であるとした事例
- 不動産の譲渡所得が譲渡に関する契約の効力発生の日の属する年に帰属するとした事例
- 外国特許事務に係る弁理士報酬の収入金額の確定の時期は依頼者の検収が終了した時点であるとした事例
- 調停に基づく離婚慰謝料として譲渡することとなったマンションの譲渡時期は、所有権移転登記のときではなく、当該マンションから請求人の資産を搬出し、当該マンションを相手方に引き渡したときであるとした事例
- 請求人が行った外国為替証拠金取引に係るスワップポイントの収入すべき時期は、請求人の通貨証拠金取引口座に累積された時であるとした事例
- 当初売買契約の対象物件である土地の一部を分筆して引き渡した土地に係る課税年分は、当初売買契約対象物件の引渡しが完了した日の属する年分ではなく、当該引渡しがあった日の属する年分であるとした事例
- 売買契約をした土地のうち一部の引渡しが不能になった場合において、引き渡した部分についてのみ譲渡があったものと認定した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。