債権償却特別勘定の対象となる貸金等の額の算定に当たってはその債務者に対する支払手形の額を控除すべきであるとした事例
[法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1976/09/25 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]裁決事例集 No.13 - 32頁
請求人は、債権償却特別勘定の対象となる貸金等の額を算定する場合において、同一人に対し貸付債権と支払手形があったとしても、これを相殺することはできないとして、貸金等の額から控除することとなる「実質的に貸金等とみられない金額」について、原処分庁が貸倒引当金の算定について定めた法人税基本通達11−2−4“実質的に債権とみられないもの”を準用して、貸金等の額から支払手形の額を控除して債権償却特別勘定の対象となる貸金等の額を算出したことは不当である旨主張する。
しかしながら、既存の債務は、支払手形が当該債務の支払に代えて授受されたものでない限り、その手形債務が支払われるまでは手形債務と併存し、既存債務は、その債権者に対して有する債権となお相殺関係を失わないものと解され、また、債権償却特別勘定及び貸倒引当金はいずれも法律上存在する債権の貸倒れの見積額であり、両者はその本質を異にするものではないから、これらについての法人税基本通達の定めを区別して解する理由はない。したがって、債権償却特別勘定の対象となる貸金等の額を算定する場合において、当該債務者に対して有する貸金等の額から控除すべき「実質的に貸金等とみられない金額」には、当該債務者に対する支払手形の額を含むものと解するのが相当であり、請求人の主張は失当である。
昭和51年9月25日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 債権償却特別勘定の対象となる貸金等の額の算定に当たってはその債務者に対する支払手形の額を控除すべきであるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算>寄付金)
- 本件海外慰安旅行の参加者の一人当たりの費用の額は平成3年5月分341,000円、平成4年5月分454,411円及び平成5年5月分520,000円であり、当該金額は、多額であると認められることから、社会通念上一般に行われている福利厚生行事と同程度のものとは認められないとした事例
- 水産物地方卸売市場に出荷し歩戻しを受ける特定荷主に係る営業権の譲受け対価を事後に修正し追加払した場合、当該金員は営業権の対価とは認められず、寄付金に当たるとした事例
- 債権償却特別勘定の設定は認められないとした事例
- 本件各貸付金に係る貸倒損失については、貸倒れの事実が認められず、あるいは当該事業年度以前に貸倒れの事実が生じていたと認められるとして、それを当該各事業年度の損金の額に算入することはできないとした事例
- 仕切売買の方法によってなされた不動産売買に関して支払われた企画料名目の金員は、譲渡委任に基づく報酬と認められるから、請求人の所得金額の計算上、損金の額に算入されるべきものであるとした事例
- 事業を引き継いだ法人が支出した立替金の利息相当額は寄付金ではなく仮払金に該当するとした事例
- 固定資産である本件土地は1年以上遊休状態にあったが、そのことにより価額が低下した事実は認められないため、本件評価損の損金算入は認められないとした事例
- 請求人が損金の額に算入したグループ法人に対する業務委託料は、当該グループ法人に対する資金援助を仮装して計上されたものであり、対価性がなく寄附金の額に該当するとした事例
- 和解金の支払が剰余金の分配と認められ資本等取引に該当するとして損金の額に算入できないとした事例
- 請求人が子会社支援損とした同社に対する貸付債権の放棄額は、寄附金に該当するとした事例
- 外国法人からの仕入れ取引は円建てで行われたと認められるから、当該取引の決済により生じた為替差益相当額を過大仕入れによる寄付金と認定した原処分は相当でないとした事例
- 業務に関連する資格取得のために専門学校に入学した従業員に対して、請求人が奨学金として負担した金員は貸付金と認められるから、当該奨学金は損金の額に算入されないとした事例
- 債務保証契約に基づく保証債務の履行に伴う損失が寄付金に当たるとした事例
- 分譲マンションの建設用地について、本件土地を含む地域が地すべり防止区域に指定されたこと及びおよそ300離れた同様の傾斜地で土砂崩れがあったことは、評価損が損金に算入される法人税法施行令第68条第1号ニの「準ずる特別の事実」に該当しないとした事例
- 請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例
- 債務保証契約に基づく保証債務の弁済額について損金算入を認容した事例
- 子会社に対する仕入れの値増し金は当該子会社の資金不足を補うための資金供与としての寄附金であると認定した事例
- 請求人がその子会社の債務超過などを理由として売掛金及び貸付金を放棄したことは、いずれも子会社に対する経済的な利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例
- 業務の遂行と観光を目的とする海外渡航の航空運賃の全額を損金と認定した事例
- 請求人が非上場株式を関係会社の代表者に対して額面金額で譲渡した価額は、通常取引価額に比べ低額であるから、その価額と譲渡価額との差額は寄付金であると認定した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。