請求人が代表者個人から引き継いだとする借入金等に係る支払利息について、その一部は損金の額に算入されるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2013/07/19 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]《ポイント》 本事例は、請求人が、いわゆる法人成りによる設立の際、代表者個人の債務を引き継いだとして各金融機関等に利息等(本件支払利息)を支払ったことについて、請求人が各金融機関から借入れをしたとは認められず、代表者個人が支払うべき利息であると認定したが、本件支払利息のうち一部(当座貸越利息及び手形割引料等)は、いずれも請求人の責任により生じたものと認め、損金の額に算入したものである。
《要旨》 請求人は、代表者から引き継いだ借入金に係る利息(本件支払利息)の支払は、事業を引き継いだ請求人に対して金融機関から請求され、請求人が負担すべきものとして支払をしたものであり、本件支払利息は損金の額に算入することができる旨主張し、原処分庁は、請求人が代表者の債務を引き受けたとは認められず、本件支払利息は代表者が支払うべきものであり、損金の額に算入できない旨主張する。
しかしながら、請求人と代表者との間には、金融機関等に対する債務の引受けの合意はあると認められるものの、金融機関は正式にそれを受け入れる旨の表明等をしておらず、債務者を代表者としたままであったことが推認される。そうすると、請求人に生じた債務は飽くまで代表者に対するものであり、請求人が借入れの相手先を金融機関としていたとしても、請求人が金融機関から借入れをしたと認められるものではない。したがって、金融機関に対し利息を支払うべき者は代表者というべきであり、請求人には支払の義務は認められず、代表者に対して求償権が発生したものと認められるから、請求人の損金の額に算入されない。
他方、本件支払利息のうち当座貸越利息及び手形割引料等は、いずれも請求人の責任により生じたものと認められることから、損金の額に算入すべきである。
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が代表者個人から引き継いだとする借入金等に係る支払利息について、その一部は損金の額に算入されるとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(法人税法>所得金額の計算>損金の額の範囲及び計算>寄付金)
- 同族会社の元社長の死亡の際に支出した弔慰金等の雑損失計上を相当と認めた事例
- 公益法人等が収益事業から公益事業へ支出した金額につき、これと見合う金額を元入金として受け入れているときは、いわゆるみなし寄付金に当たらないとした事例
- 従業員等により外注加工賃として詐取された横領金は費用又は損失でなく当該従業員等に対する仮払金に当たるとした事例
- 子会社の代表取締役に就任した使用人兼務役員に支払った使用人分給与を子会社に対する寄付金と認定したことは相当でないとした事例
- 債権償却特別勘定の対象となる貸金等の額の算定に当たってはその債務者に対する支払手形の額を控除すべきであるとした事例
- 運送業を営む請求人が損金に計上したいわゆるバッタ屋からの燃料費及びタイヤ購入費を架空経費であるとして認めなかった事例
- 再生計画により免責された債務(部分)について、連帯保証人が保証債務を履行した場合でも、主たる債務者は連帯保証人に対し求償債務を負担しないことから、損金算入は認められないとした事例
- 本件土地の譲渡価額と時価との差額が生ずることについて合理的な理由があるとは認められないから、その差額は寄付金に該当するとした事例
- 請求人が債権を放棄した時点において、債務者は70パーセント完成した建物を有しており、その処分につき請求人を含めて協議中であったから、当該債権が回収不能であったとは認められないとした事例
- 寄付金と認定されたグループ3社の共同社員旅行に係る請求人の負担額は、著しく合理性を欠く配分によるものであるとは認められないから、その全額が福利厚生費として損金の額に算入されるのが相当であるとした事例
- 請求人が損金の額に算入したグループ法人に対する業務委託料は、当該グループ法人に対する資金援助を仮装して計上されたものであり、対価性がなく寄附金の額に該当するとした事例
- 預託金制から株式制に転換されたゴルフ会員権(株式)について、1株当たりの純資産価額には著しい下落は認められないとして株式の評価損の計上を認めなかった事例
- 外国子会社に対する業務委託費として経費に計上した金員は、外国子会社に対する資金援助に当たり、寄附金と認定された事例
- 請求人が財団法人に対して支出した本件出捐金は基本財産とすることを指定して支出したものであるから、寄付金に該当するとした原処分が適法とされた事例
- 不採算又は事業後継者難の特約店4社に対して、請求人が行った売掛金の減額処理は、請求人の経営遂行上真にやむを得ない費用であるから寄付金課税の対象にはならないとされた事例
- 請求人が非上場株式を関係会社の代表者に対して額面金額で譲渡した価額は、通常取引価額に比べ低額であるから、その価額と譲渡価額との差額は寄付金であると認定した事例
- 請求人の費用計上に取引先との通謀や水増しがなく、過大に計上していないとした事例
- 本件各貸付金に係る貸倒損失については、貸倒れの事実が認められず、あるいは当該事業年度以前に貸倒れの事実が生じていたと認められるとして、それを当該各事業年度の損金の額に算入することはできないとした事例
- 経営状態が悪化したことを理由とする子会社に対する経済的利益の供与は寄付金に当たると認定した事例
- 寄付金と認定されたいわゆる姉妹会社の清算に伴う支出金額についてその一部は寄付金に該当しないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。