外注費として支出した工事代金等につき対価性がなく寄附金に該当するとした原処分の一部を取り消した事例
裁決事例(国税不服審判所)
2011/03/08 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]《ポイント》 一般に、会計帳簿は業務上の金員の動きがそのまま記載されるものであるから、特段の事情のない限り、会計帳簿に記載されたとおりの事実を認めることができるところ、原処分庁が会計帳簿に記載された事実(費用)について対価性がないと認定する場合には、原処分庁がその立証責任を負うことになる。
この事例では、請求人が会計帳簿に記載された事実と異なる事実を主張したことから、請求人において、かかる事実の存在や異なる事実を会計帳簿に記載することとなった事情などの特段の事情を立証する必要があるとしたものである。
《裁決の要旨》 請求人は、各事業年度に追加の外注費として支出し損金の額に算入した金員(本件支出金)は、過去に施工された工事に係る追加の支払を現場名を付け替えて支出したもの、及び実際の工事対価の支払として支出したものであり、対価性があることから、法人税法第37条《寄附金の損金不算入》第7項に規定する寄附金には当たらない旨主張し、一方、原処分庁は、本件支出金にはいずれも対価性がなく寄附金に当たる旨主張する。
上記に係る本件支出金については、請求人の会計帳簿等に記載された現場と関係がない上、請求人が主張する追加支払に合理的理由や支払うべき特段の事情があったとはいえず、対価性のない支出であると認められることから寄附金に該当する。一方、に係る本件支出金については、実際に工事が行われており、当該工事に係る対価であると認められることから寄附金に該当しない。
《参照条文等》 法人税法第37条第7項
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