請求人が職員を社会福祉法人が行う通所介護業務に従事させて社会福祉法人から得た金員は、出向契約に基づく給与負担金ではなく業務委託契約に基づく対価と認められることから、課税資産の譲渡等の対価に該当するとした事例
[消費税法][課税範囲][課税取引]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2009/05/22 [消費税法][課税範囲][課税取引] 請求人は、請求人の職員を社会福祉法人Eが行う通所介護業務に従事させて社会福祉法人Eから得た金員は、社会福祉法人Eに出向させた職員(以下「本件職員」という。)の給与を収受したものであり、消費税法基本通達5−5−10に定める給与負担金に該当するから課税資産の譲渡等の対価には該当しない旨主張する。
ところで、出向とは、出向者が出向元との労働契約を維持して雇用関係が存続する一方、出向先の指揮命令に服して就労することから、出向先とも雇用関係に基づいて勤務する形態であると解されるところ、本件職員との雇用関係は請求人との間にのみ存在することからすれば、請求人が本件職員を社会福祉法人Eに出向させていたとみることはできず、社会福祉法人Eから収受した金員は、出向に基づく給与負担金とは認められない。
また、請求人は、社会福祉法人Eとの間において上述した通所介護業務に係る業務委託契約書を作成しているところ、当該契約書に実用性はなく本件金員は上記通達にいう給与負担金であるとも主張するが、実際に当該契約書の契約内容に基づいて職員を社会福祉法人Eの通所介護業務に従事させて役務を提供し、その対価として本件金員を収受しているのであるから、本件金員は、課税資産の譲渡等に係る対価に該当する。
平成21年5月22日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が職員を社会福祉法人が行う通所介護業務に従事させて社会福祉法人から得た金員は、出向契約に基づく給与負担金ではなく業務委託契約に基づく対価と認められることから、課税資産の譲渡等の対価に該当するとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(消費税法>課税範囲>課税取引)
- 請求人が締結したビジネス専門学校との講師契約は、請負契約あるいはそれに類似する契約と認められるので、請求人が行った講義は消費税法に規定する「事業として」行われたことに該当するとした事例
- 売買契約の買手である審査請求人が金銭を受領することなく当該売買契約に係る権利義務の一切を第三者に移転した取引について、売買契約に係る買主の権利義務を一体として移転したものであって、代金支払債務の引受けを対価として目的物引渡請求権を譲渡したものとは認められないから、対価を得て行われた資産の譲渡等に該当しないとした事例
- 請求人は、反復、継続、独立した行為として土地を駐車場用に貸し付けており、これは消費税法上、事業として課税資産を貸し付けていることに該当するので、新規開業者ではなく、本件課税期間においては還付を受けるための申告はできないとした事例
- 家庭配置薬の販売業者が製造業者から受け取る手数料は、新規顧客獲得戸数に応じて支払われる出来高払としての報酬の性質を有することから、新規顧客獲得という役務提供の対価であると認めるのが相当であり、仕入れに係る対価の返還等としての販売奨励金等には該当しないとした事例
- 請求人が舗装路面等(構築物)を設置し月ぎめ駐車場としていた土地を賃貸し、賃借人がこれを改修して無人時間貸駐車場にしたとしても、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合に当たるとした事例
- 事業用資産であるマンションを相続税納付のため物納したことは、課税資産の譲渡に当たるとした事例
- 賃貸借契約終了時に原状回復費用に充当することが合意された敷金と追加金の合計額は、「原状回復義務」を消滅させることを「役務の提供」とする対価であり、課税資産の譲渡等の対価に該当するとした事例
- 宗教法人が行った絵画の譲渡について「事業として」行われる資産の譲渡等に該当すると認定した事例
- 約40年に1度行われた立木の譲渡であっても、山林の反復、継続的な育成、管理が行われていた場合には、事業として対価を得て行われる資産の譲渡に該当するとした事例
- 請求人が職員を社会福祉法人が行う通所介護業務に従事させて社会福祉法人から得た金員は、出向契約に基づく給与負担金ではなく業務委託契約に基づく対価と認められることから、課税資産の譲渡等の対価に該当するとした事例
- 宗教法人が合宿研修を行うに際し参加者から徴収した宿泊費収入は、資産の譲渡等の対価に該当し、消費税の課税対象となるとした事例
- 請求人が所有する会館を檀家以外の者に利用させ利用料を受領したことは「事業として対価を得て行われる資産の貸付け」に該当するとした事例
- 公的機構から受領する処理料は、役務の提供を行うことの反対給付として受けるものであるから、課税資産の譲渡等に該当するとした事例
- 稲作の休作期間中に売却を目的として整地工事をした土地の譲渡は、事業の用に供していた資産の譲渡として、「資産の譲渡等」に該当するものとした事例
- E生命保険の営業社員である審査請求人が消費税法上の事業者に該当すること、報酬に含まれる通勤手当等が課税資産の譲渡等の対価の額に含まれること及び報酬明細・収支報告書が消費税法第30条第7項の帳簿には当たらないとして仕入税額控除が認められないことについて判断した事例
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。