原処分庁が用いた資産負債増減法による推計において、推計の基礎とされた資産及び負債の認定に誤りがあるとした事例
[所得税法][推計課税]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2011/07/08 [所得税法][推計課税]《ポイント》 資産負債増減法による推計において、その納税者と生計を一にする者がある場合には、両者の資産、負債及び処分(消費)した所得を区分せずに推計の基礎として、その納税者の所得の金額を算出する方法を採ることが合理的である。
この事例は、請求人と生計を一にする親族名義の預金口座であっても、生計を一にしない者に貸していたと認められるものについては、推計の基礎から除外するのが相当としたものである。
《要旨》 原処分庁は、資産負債増減法を用いた推計においては、請求人と世帯を一にする者がある場合、その世帯員の資産及び負債も推計の基礎に含めて純資産の増減額を算出し、その後に、世帯員の所得金額などの請求人の所得を源泉としない純資産の増加要因について、減算することになる旨主張する。
しかしながら、請求人と生計を一にする者名義の預貯金のうち、V銀行j支店及びW銀行j支店の子の妻名義の普通預金口座はいずれも同人の兄であるSに貸していたものであり、また、Sは請求人と生計を一にする者ではないと認められることから、これらの口座は推計の基礎から除外し、これらの口座を除く各口座に係る預貯金の全てを推計の基礎とするべきである。よって、これと一致する限度において、原処分に誤りはないが、これに反する部分は、誤りである。
《参照条文等》 所得税法第156条
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