審査請求人が架空仕入れ等を計上して支出した現金について、審査請求人の代表者に支給した臨時の給与であり、役員賞与に該当すると認定した事例
[所得税法][源泉徴収]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2007/10/03 [所得税法][源泉徴収] 請求人は、零細企業で、賞与を支給できる財務内容ではなく、請求人の代表者(以下「本件代表者」という。)が自由に費消できる資金などは全くないこと、また、請求人には本件代表者に対して賞与を支給する意思はなく、同人も賞与を受けた認識はないことから、請求人が仕入れ等のために振り出した小切手を本件代表者が現金化し、同人が所持していた現金(以下「本件各現金」という。)を本件代表者への賞与とする納税告知処分は取り消されるべきである旨主張する。
しかしながら、本件代表者は、請求人の事業経営及び経理の実権を有する唯一の者であると認められること、請求人は、青色申告法人であり、取引に関係する帳簿の記録及び資料の保存が必要であるところ、本件各現金の使途を明らかにする帳簿の記録や資料等の保存が一切なく、当該小切手を現金化した後の本件各現金の使途が不明であること、及び本件代表者が、当該小切手を現金化した後に本件各現金に相当する金員を会社のために支出した事実が認められないことからすれば、本件各現金は、本件代表者が取得したとみるほかなく、請求人から本件代表者に対して支給された臨時的な給与、すなわち役員賞与に当たるものと認められる。したがって、本件各現金を本件代表者に対する賞与とした原処分は適法である。
平成19年10月3日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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