いわゆる兄弟会社に対する貸付債権の放棄について寄付金として認定した原処分は相当でないとした事例
[法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1982/06/22 [法人税法][所得金額の計算][損金の額の範囲及び計算][寄付金]裁決事例集 No.24 - 110頁
原処分庁は、本件貸付債権の放棄について、法人税基本通達9−4−1に定める「相当な理由」があるとは認められないと主張するが、[1]請求人は、甲ビルを譲渡して請求人の兄弟会社である乙社に対して資金援助を行ったが、これは、同社が倒産した場合には社会的責任が生ずるのみならず、結局、請求人も共倒れになるという関係会社間におけるより大きな損失を避けるためのものと認められ、かつ、資金援助をする方法として最後に残された唯一の手段であったことが認められること、また、[2]同社の実質的な経営の引継ぎをするに当たり、請求人は本件貸付債権を放棄したが、これは、同社の再建に自信のない丙が経営を丁に引き受けてもらうために、同社の財政状態を改善する必要に迫られてやむを得ず行ったものであると認められることからすれば、当該通達の趣旨に照らして、「相当な理由」があると解すべきであると認められ、本件貸付債権の放棄による損失の額は、寄付金の額に該当しないというべきである。
昭和57年6月22日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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