請求人の事業所得の金額を推計により算定する際に用いた同業者率の算定が合理的でないとした事例
[所得税法][推計課税]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2011/06/23 [所得税法][推計課税]《ポイント》 この事例は、同業者比率法による推計課税において、損失の金額が生じている同業者の所得率につき、原処分庁がこれをゼロとして計算したことには合理性がなく、当該同業者については損失率をそのまま用いて計算することが合理的であるとしたものである。
《要旨》 原処分庁は、営業を開始した平成17年分ないし平成20年分のいずれの年分についても、本件店舗事業に係る売上原価の額を、同業者13件の収入金額に対する売上原価の額の割合の平均値で除して収入金額を算定し、当該収入金額に同業者13件の収入金額に対する青色申告特別控除前の所得金額の割合(同業者所得率)の平均値を乗じて本件店舗事業に係る所得金額を算定する方法が合理的である旨主張する。
しかしながら、原処分庁が同業者所得率の算定に当たり採用した同業者のうちの一部の者について、所得金額がマイナス(すなわち、損失の金額が生じている。)であるにもかかわらず、推計の過程においてこれをゼロとしているところ、特にこれらの同業者の所得金額がマイナスとなっていることが、特殊な事情に基づくものであると認めるに足りる証拠はないことから、推計の過程においてはこれらのマイナスの所得金額はそのまま適用するのが合理的である。
《参照条文等》 所得税法第156条
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