退職金(分掌変更による退職)で節税する
社員が会社を退職しなくても、役員に分掌変更があったケースでは
退職金を支給することが可能です。
- No.5203 使用人が役員へ昇格したとき又は役員が分掌変更したときの退職金 | タックスアンサー(国税庁)
退職金にかかる所得税(
退職所得)は、2分の1課税などの税制優遇措置があるので最大限活用します。
退職金(*役員の分掌変更)で節税する
退職金として税務処理するためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 実際に支給すること。未払金計上では原則として退職金に含まれない。
- 分掌変更によって地位等が激変し、実質的に退職したと同様の事情にある場合。
上記1.ですが、
退職金の原資として
経営者保険や
少人数私募債の活用が考えられます。
- 役員退職金と経営者保険を組み合わせて節税
- 役員退職金と経営者保険を組み合わせて節税する。貯蓄型定期保険(低解約払戻金型保険等)と役員退職金の活用。デメリットや回避策(リスク軽減策)。
- 少人数私募債で節税
- 少人数私募債で節税する。少人数私募債のメリットや制限、役員退職金の原資、小分けして毎年贈与、信託して元本受益権を贈与、信託した元本受益権を小分けして毎年贈与。
上記2.については、以下のようなケースが列挙されています。
- 常勤役員が非常勤役員になったこと(代表権がある場合を除く)
- 取締役が監査役になったこと(大株主である場合を除く)
- 分掌変更の報酬が50%以上減少したこと
なお、いずれも分掌変更後も引き続き、実質的に経営上主要な地位にある場合を除きます。
役員退職慰労金規程で節税する
過大な役員
退職金については、
役員賞与と認定されて非常に不利になります。国税当局による役員
退職金の過大認定を避けるためには、役員退職
慰労金規程の整備が不可欠です。
一般的に役員
退職金は次の算式で決まります。
問題になりやすいのが「報酬月額」と「功績倍率」です。この2つについては、役員退職
慰労金規程において具体的に定めておくべきです。
役員退職慰労金規程を適切に運用して節税する
役員退職
慰労金規程を作成しただけでは節税できません。役員退職
慰労金規程の適切な運用が求められます。
- 定款に基づき、役員退職慰労金規程を作成(改訂)する。
- 役員退職慰労金規程に基づき、役員退職金の額を決定する。
- 役員退職慰労金規程に基づき、役員退職金を支給する。
定款で社内規程を定めることの重要性については、
定款作成時のポイントにおいて言及しているので参考にしてください。
残りの2.~3.については、実際に運用することが大切です。例えば、取締役会や株主総会の開催が必要であれば、実際に開催し、必ず議事録を残します。また、役員
退職金の支給基準については、常識の範囲内で定めておくことも必要です。
関連する節税対策ツール
役員退職慰労金規程で節税(雛形)では、(役員退職
慰労金)として取り上げています。
- 役員退職慰労金規程で節税(雛形)
議事録のサンプルも用意しているのでご活用ください。
- 役員退職慰労金の議事録で節税(雛形)
退職金の税金計算ツール(所得税・住民税)
退職金は分離課税なので、税金は天引きされます。また、退職金を受け取る際、勤務先に「退職所得申告書」を提出すると、退職所得控額等の優遇措置が適用されます。