わが国において韓国芸能人に支払った人的役務の提供に対する報酬は、日韓租税条約上免税にならないとした事例

[所得税法][源泉徴収]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

1997/07/02 [所得税法][源泉徴収]

裁決事例集 No.54 - 231頁

 請求人は、韓国の居住者である芸能人に対し、国内における芸能人としての人的役務の提供に対する報酬を支払っていたが、本件報酬は、日韓租税条約第6条(1)に規定する「産業上又は商業上の利得」に該当するところ、本件芸能人は請求人を代理人としているところから、同条約第4条(4)及び(5)により、請求人という独立の地位を有する代理人を通じて国内で役務提供をしている場合には国内に恒久的施設を有しないこととされるから、同条約第6条(1)により、本件報酬はわが国において免税となる旨主張する。しかしながら、本件報酬に係るわが国における課税権の有無は、本件報酬に係る別個の条項である日韓租税条約第12条(4)に規定する要件により判断するのであり、第6条(1)に規定する要件により判断すべきではないところ、第12条(4)によれば、わが国における恒久的施設の有無は要件とせず、役務提供が国内で行われ、その報酬の額が一定額を超えることを要件にわが国における課税権を認めていることから、請求人の主張は採用できない。
 また、本件報酬は芸能人が芸能人として自らの人的役務を提供することにより取得する報酬であるから、上述のとおり第6条(1)は無関係であり、第4条(4)(b)(ii)に規定する「第12条(4)に規定する芸能人の役務」を提供する場合とは、芸能プロダクション等が芸能人の人的役務を他者に提供することにより取得する所得の場合のみの規定であるから、同条項は本件報酬のわが国における課税権の有無の判断には無関係である。

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
わが国において韓国芸能人に支払った人的役務の提供に対する報酬は、日韓租税条約上免税にならないとした事例

関連するカテゴリ

関連する裁決事例(所得税法>源泉徴収)

  1. 従業員地位保全・金員支払仮処分申請に係る裁判所の決定に係る給付金支払債務について、その金額につき差押えを執行された場合においても源泉徴収義務があるとした事例
  2. 簿外普通預金からの払戻金の使途は、代表者からの借入金の返済ではなく代表者に対する給与等の支給であるとした事例
  3. タクシーによる旅客運送業を営む法人について、休日乗務手当、嘱託乗務員の乗務手当の源泉徴収につき、支給額等を認定し、適用税率を是正し、税額を算定した事例
  4. 損金に算入した養老保険の保険料相当額が、保険金受取人である従業員に対する給与(経済的利益の共与)に当たるとした事例
  5. 救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は、本来の職務に従事したことに対する対価であるから、所得税基本通達28−1ただし書は適用できないとした事例
  6. 海外出向者の帰国後に、当該海外出向者の国外勤務中の給与に係る外国所得税の額を請求人が負担したことについて、居住者に対する経済的利益の供与に当たるとした事例
  7. わが国において韓国芸能人に支払った人的役務の提供に対する報酬は、日韓租税条約上免税にならないとした事例
  8. 懲戒解雇した従業員に対し地位保全仮処分申請に係る裁判所の決定に基づき支払った金員は給与所得に該当するとした事例
  9. 外国人芸能タレントの招へい業者へ支払った金員及びその芸能タレントへ支払った、いわゆるドリンク・バックについて源泉徴収を要するとされた事例
  10. 派遣医に支払う給与等の源泉徴収につき、勤務した日ごとに定額の給与を支給していた場合であっても、月間の給与総額をあらかじめ定めておき、これを月ごとに又は派遣を受ける都度分割して支払うこととするものとして月額表の乙欄に掲げる税額を源泉徴収すべきとした事例
  11. 貸付金に係る利息相当額の経済的利益の供与に基づく源泉所得税の納税告知を取り消した事例
  12. 請求人の元理事長らが不正行為により流用等した金員等は、当該元理事長らに対する給与所得又は退職所得として、請求人は源泉徴収義務を負うと認定した事例
  13. 請求人が実施した社員旅行は、社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事として行われる旅行とは認められないとした事例
  14. 所得税法第212条《源泉徴収義務》第3項の「支払」の意義については、これを実質的に解し、現実に金銭を交付する行為のみならず、その支払債務が消滅すると認められる一切の行為を含むものと解するのが相当であるとして、形式的意味における清算人会の決議に基づく必要があるとする請求人の主張を排斥した事例
  15. ソフトウエアに係る著作権を侵害したとして外国法人に対し支払った金員は、所得税法第161条《国内源泉所得》第7号ロに規定する著作権の使用料に当たるとした事例
  16. ストリップショウの出演者に対する出演料は所得税法204条第1項に規定する報酬又は料金に該当するとした事例
  17. 合資会社の無限責任社員の死亡退社により生じた持分払戻請求権に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務を負うとした事例
  18. 発行法人がその役員に対して割り当てた新株予約権は、有利な発行価額により新株を取得する権利に該当するとした事例
  19. 関係会社の名義による源泉所得税の納付は、請求人による納付としての法的効果を生じないとした事例
  20. 受給者が確定申告をしたことにより支払者の源泉徴収義務が消滅することはないとした事例

※最大20件まで表示

税法別に税務訴訟事例を調べる

当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。


戦略的に節税するための無料ツール

一括節税計算機
※所得を入力して、税目別に税額を一括比較する
所 得万円 *必須
減少額万円 *任意  設定  消去
[対応税目]*法人税*所得税*消費税*相続税*贈与税*利子所得*配当所得*給与所得*退職所得*譲渡所得(土地)*譲渡所得(株式)*譲渡所得(総合)*一時所得*雑所得(年金)*雑所得(FX等)

*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください

このページを他の人に教える


ご意見ご要望をお聞かせ下さい

 過去のご意見ご要望については、ご意見ご要望&回答一覧で確認できます。

利用規約をお読み下さい

 本サイトのご利用にあたっては利用規約を必ずお読み下さい。

広告を募集しています

 本サイトでは掲載していただける広告を募集しております。詳しくは広告掲載をご覧ください。
新着情報 RSS
01/29 生命保険で節税
02/08 所得税の延納(利子税)で節税
09/26 経営セーフティ共済で節税
02/22 役員報酬(事前確定届出給与)で節税
02/19 不動産(再建築費評点基準表)で節税
新着情報を見る
節税対策ブログ
02/13 所得税確定申告で誤りの多い12項目(2019年度版)
01/29 死亡退職金の受取人(役員退職慰労金規程と相続税)
02/22 所得税確定申告で誤りの多い事例とは
02/02 クレジットカードポイント等の税務処理
02/01 ふるさと納税特産品と株主優待の税務処理
節税対策ブログを見る
アクセス数
今日:372
昨日:756
ページビュー
今日:1,210
昨日:1,477

ページの先頭へ移動