請求人は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した一部の経費について、不動産賃貸業の遂行上直接必要であった部分を明らかにしていないことから、当該経費を必要経費に算入することはできないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2011/03/25 [所得税法][必要経費][不動産所得]《ポイント》 この事例は、請求人が、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべきと主張する経費について、必要経費についての立証責任は、原則として原処分庁にあるとした上で、原処分庁が具体的な証拠に基づき一定額の経費の存在を明らかにし、これが収入との間に合理的対応関係を有すると認められる場合には、請求人は、経費の具体的内容を明らかにし、ある程度これを合理的に裏付ける程度の立証をしなければならない旨を明示したものである。
《要旨》 必要経費についての立証責任は、原則として原処分庁にあると解すべきであるが、一般に必要経費は請求人にとって有利な事柄であり、請求人の支配領域内のこととして証拠資料を整えておくことが容易であるから、原処分庁が具体的な証拠に基づき一定額の経費の存在を明らかにし、これが収入との間に合理的対応関係を有すると認められる場合は、これを超える額の必要経費は存在しないものと事実上推定され、請求人は、経費の具体的内容を明らかにし、ある程度これを合理的に裏付ける程度の立証をしなければ、上記推定を覆すことはできないと解されるところ、請求人が、飲食代及び交通費が必要経費に当たることについて、経費の具体的内容を明らかにし、ある程度、これを合理的に裏付ける程度の立証をしたと認めることはできないから、必要経費に算入することはできない。
《参照条文等》 所得税法第26条第1項、第37条第1項、第45条第1項第1号、第57条第1項、第155条第2項
《参考判決・裁決》 東京地裁平成5年10月4日判決(税資199号1頁)
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した一部の経費について、不動産賃貸業の遂行上直接必要であった部分を明らかにしていないことから、当該経費を必要経費に算入することはできないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>必要経費>不動産所得)
- 物納した土地上の賃貸用建物に係る本件解約損害金及び本件取壊し費用は、不動産所得を生ずべき業務について生じた費用には該当せず、譲渡費用に該当するとした事例
- 不動産所得の基因となる資産の取壊しにより生じた損失の金額が、所得税法第51条第4項に該当し、本件損失を不動産所得の必要経費に算入しないで計算したところの不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されるとした事例
- 不動産所得の金額の計算上、生計を一にする親族に支払った土地賃借料は必要経費に算入されないとした事例
- 請求人が耐用年数の短縮を求める理由は、本件建物自体の構造等に変化が生じて物理的、客観的に使用可能期間が短くなったという事由ではなく、取壊しの行われることが将来予定されているという本件契約当事者の取決めを理由とするものであるので、所得税法施行令第130条第1項に掲げる事由には該当しないとした事例
- 業務用の固定資産の取得に伴い納付することとなる租税公課等は、当該固定資産の取得価額に算入されず、業務上の必要経費に算入されるとした事例
- 不動産所得について青色事業専従者給与の必要経費算入を容認した事例
- 平成13年3月の相続により取得した建物の減価償却費の計算及びその方法は定額法によるとした事例
- 請求人の子が代表取締役を務める法人は、賃貸の目的物に係る管理業務を行っているから、同法人に対して支払った管理費は、請求人の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例
- 請求人が代表取締役を務める同族会社に対し不動産の管理費として支払った金員は、証拠によれば、当該同族会社が行った管理業務の対価であると認められるとした事例
- 土地を貸付けし得る状態にあっても、それだけの理由でその土地に係る費用が必要経費とされるものではないとした事例
- 不動産の貸付先に対する貸付金の貸倒れによる損失は、その不動産貸付業の遂行上生じたものではないから、必要経費とすることはできないとした事例
- 不動産所得の金額の計算上、相続により取得した不動産に係る登記費用は必要経費に算入されないとした事例
- 賃借人のいる建物をその土地と共に取得した後、賃貸借契約の解除に伴い賃借人に支払った立退料は、土地の取得費に算入すべきであるとした事例
- 請求人は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した一部の経費について、不動産賃貸業の遂行上直接必要であった部分を明らかにしていないことから、当該経費を必要経費に算入することはできないとした事例
- 相続を原因とする所有権移転の登記に係る登録免許税は不動産所得の金額の計算上必要経費に算入できないものとした事例
- 相続により取得した賃貸用建物については、中古資産としての耐用年数を適用することができないとした事例
- 土地取得のための借入金の利子のうち業務の用に供していなかった期間の支払利子は不動産所得の必要経費ではないとした事例
- 新たに賃貸用として利用すべく準備している土地の固定資産税は、不動産所得を生ずべき業務について生じた費用とは認められないとした事例
- 不動産貸付業務遂行上、直接関連のないゴルフ接待費用は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例
- 居住用兼賃貸用資産の譲渡代金と借入金とをもって居住用兼賃貸用資産を取得した場合における借入金利子のうち、賃貸用部分に対応する金額は不動産所得の金額の計算上必要経費に該当するとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。