請求人が、出向契約に基づいて支払った本件業務分担金は、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する「給与等を対価とする役務の提供によるもの」に該当するから、仕入税額控除の対象にはならないとした事例
[消費税法][税額控除等][仕入税額控除]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1999/11/04 [消費税法][税額控除等][仕入税額控除] 請求人は、本件出向契約の実質は業務委託契約であり、請求人と本件従業員の間に雇用関係はなく、本件業務分担金は業務委託契約に基づく役務提供の対価であるから課税仕入れに該当し、したがって、仕入税額控除は認められるべきである旨主張する。
しかしながら、出向契約等に基づき支払われる分担金等であっても、その実質が出向先事業者において支払うべき給与に相当するものである場合には、当該出向先事業者における仕入税額控除の対象とはならない。本件出向契約の契約事項及び労務提供の状況等を見ると、[1]本件従業員は、業務に必要な機械及び器具の自己負担はないこと、[2]請求人の定める勤務時間内において請求人の指揮監督の下に労務を提供していること、[3]請求人は、本件従業員を請求人の従業員であるとして労災保険に加入し、給付手続きを行っていることが認められ、これらを総合すると、本件従業員は、請求人の指揮命令に服して、非独立的に労務、役務を提供しているといえるから、請求人と本件従業員との間には雇用関係があると認めるのが相当である。
したがって、本件業務分担金は、その実質が請求人と本件従業員との間の雇用関係に基づき支払われた給与に相当する金額と認められ、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する給与等を対価とする役務の提供によるものに該当するから、仕入税額控除の対象とはならない。
平成11年11月4日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人が、出向契約に基づいて支払った本件業務分担金は、消費税法第2条第1項第12号のかっこ書に規定する「給与等を対価とする役務の提供によるもの」に該当するから、仕入税額控除の対象にはならないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(消費税法>税額控除等>仕入税額控除)
- 請求人が提示した出面帳に記載された事項のうち、法定記載要件を具備している部分については、課税仕入れ等の税額に係る帳簿に該当するとして、消費税の納付すべき税額の計算上、当該部分に係る仕入税額控除の適用を認めた事例
- 請求人の行っている業務は、会計処理業務であり、帳票類を販売する業務ではないとして、簡易課税制度の適用上、卸売業に該当しないとした事例
- 販売代理店契約の解除に伴う在庫品の返品に係る消費税額を、課税仕入れ等の消費税額から控除すべき時期は、代理店契約の末日を含む課税期間であるとした事例
- 消費税の確定申告書を法定申告期限までに提出できなかったこと及び簡易課税制度選択届出書を提出できなかったことは、原処分庁の説明及び周知努力の不足のためであるから、簡易課税制度を適用して消費税等の納付すべき税額を計算すべきであり、無申告加算税の賦課決定処分も違法であるとの請求人の主張を、確定申告書の提出及び簡易課税制度の選択は請求人自身の責任と判断においてなされるべきであり、税法の単なる不知により不利益を受けたとしても、納税者自身が甘受せざるを得ないとして排斥した事例
- 請求人の行っている事業は、第三種事業に該当するものではなく、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であり、第四種事業に該当するとした事例
- 請求人が取得したマンションの売買代金の支払日、所有権移転登記をした日、抵当権が設定された日、合鍵等の引渡しの日等によれば、当該マンションは本件課税期間より前に引渡しを受けたものと認められるから、当該マンションの取得は本件課税期間の課税仕入れには該当しないと判断した事例
- 原材料等の有償支給を受けて行う自動車部品の加工は製造業に当たるとした事例
- 簡易課税制度選択届出書の提出があり、その後簡易課税制度不適用届出書の提出がないので、本件課税期間については簡易課税制度を適用した更正処分等は適法であるとした事例
- 簡易課税制度適用課税期間に仕入れた建物に係る仮払消費税は、その後の本則課税適用課税期間における仕入税額控除の対象にはできないとした事例
- 軽油引取税の特別徴収義務者ではない者から軽油を引き取る者が支払う軽油引取税相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとした事例
- 店頭における商品の仕入れに際し、仕入先が言うままの名称を帳簿等に記載している仕入取引については、その名称が真実のものでないと推認されるとして、消費税の仕入税額控除は適用できないとした事例
- 既製服プレス加工業は、日本標準産業分類五十音索引表の「プレス仕上げ業(既製服などの仕上げ工程として行うもの)」(大分類L−サービス業)と同一の事業を意味するものと認められることからサービス業に該当し、簡易課税制度における事業区分は第五種事業であるとした事例
- 請求人の営む事業は、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であるから第四種事業に該当するとした事例
- 建物等の譲渡に当たって当事者間で引渡しの日を定めていたとしても、当該建物等の売買契約を締結した日に代金決済及び所有権移転登記等が完了しているのであれば、当該売買契約を締結した日が当該建物等の譲渡の時期であるとした事例
- 事業者が販売したことによる自己の商品代金債権を信販会社に譲渡等することに伴い支払う手数料は、消費税法上の非課税取引に該当するとした事例
- 営業権の引渡しの日は、酒類の販売が可能となった酒類販売業免許の日とするのが相当とした事例
- 区分所有者たる請求人の建物管理組合に対する管理費の支払は、当該管理組合の構成員たる地位に基づいて負担するものであるから、資産の譲渡等の対価には該当しないとした事例
- いわゆる個別対応方式により課税仕入れに係る消費税額を計算する場合における「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」、「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」及び「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」の区分は個々の課税仕入れについて行う必要があるとした事例
- 事業を廃止した場合において、簡易課税制度選択の届出の効力が失われるのは事業廃止届出書の提出があった日の属する課税期間の末日の翌日であり、事業を廃止した日の属する課税期間の末日の翌日と解することはできないとした事例
- 本件課税期間の課税売上割合が零パーセントであり、控除税額の計算方法として一括比例配分方式を選択しているから、本件課税期間に係る控除対象仕入税額は零円となるとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。