請求人の代理店は、請求人との販売委託契約書に基づき請求人の扱っている商品について、請求人と顧客との販売契約の申込みの勧誘等の業務委託を受け、請求人と顧客との売買契約の締結を媒介する役務を請求人に提供していることから、所得税法第204条に規定する外交員に該当するとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
1999/03/11 [所得税法][源泉徴収] 請求人は、請求人の代理店は、[1]自己の責任で顧客との契約を行っていること、[2]自己が負担すべき車代、本代及びアルバイト代等を負担していること及び[3]一定の期間において継続して請求人の扱う商品の販売活動を行っている者はほとんどいないことから、代理店は独立した営業者であり、外交員には該当しない旨主張する。
しかしながら、外交員とは、事業主の委託を受け、継続的に事業主の商品等の購入の勧誘を行い、購入者と事業主との間の売買契約の締結を媒介する役務を自己の計算において事業主に提供し、その報酬が商品等の販売高に応じて定められている者をいうと解されている。
これを本件についてみると、[1]請求人と代理店との間で本件販売委託契約が締結されていること、[2]請求人の仕入先との本件販売契約書において顧客との取引がクーリングオフされた場合には、請求人が責任をもってその処置に当たることとされていること、[3]クレジット申込書の販売店欄に請求人の別称の記載がされていることからすれば、本件商品の顧客との売買契約の当事者となるのは、代理店ではなく請求人と認められ、代理店はその当該契約の媒介を行っているものと認められる。
また、本件販売委託契約書の内容に照らせば、代理店は本件販売委託契約書に基づき、請求人から請求人の扱う商品について、請求人と顧客との間の売買契約の申込みの勧誘及び媒介業務の委託を受け、請求人と顧客との間の売買契約の締結を媒介する役務を請求人に提供しているものと認められる。
さらに、代理店が請求人から受領する本件委託販売手数料は、代理店が販売した商品ごとにあらかじめ手数料率に基づき売上金額に応じて算定されており、本件販売委託契約書には契約期間の定めがあることから、代理店は請求人とその契約期間内において継続的な関係を有しているものと認められる。
そうすると、代理店は、請求人との本件販売委託契約書に基づき、請求人の指定する商品について請求人との間の売買契約の申込みの勧誘及び媒介業務の委託を受け、本件経費相当額を負担して継続的に請求人と顧客との商品の売買契約を媒介する役務の提供を行っているものであり、その役務の提供に対する対価の額は、販売した商品ごとに請求人があらかじめ定めた手数料率に基づき、売上金額に応じて支払われていることが認められるから、これらの事実によれば、代理店は外交員に該当し、本件委託販売手数料は外交員報酬に該当するものと認められるから、請求人には所得税法第204条第1項に規定する所得税の源泉徴収義務があると解するのが相当である。
なお、平成8年3月分の源泉所得税の額に誤りが認められるので、当該部分に係る納税告知処分はその一部を取り消すべきである。
平成11年3月11日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人の代理店は、請求人との販売委託契約書に基づき請求人の扱っている商品について、請求人と顧客との販売契約の申込みの勧誘等の業務委託を受け、請求人と顧客との売買契約の締結を媒介する役務を請求人に提供していることから、所得税法第204条に規定する外交員に該当するとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(所得税法>源泉徴収)
- 理事長に対する債務免除は、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものに該当せず給与として源泉徴収を要するとした事例
- 従業員地位保全・金員支払仮処分申請に係る裁判所の決定に係る給付金支払債務について、その金額につき差押えを執行された場合においても源泉徴収義務があるとした事例
- 海外出向者の帰国後に、当該海外出向者の国外勤務中の給与に係る外国所得税の額を請求人が負担したことについて、居住者に対する経済的利益の供与に当たるとした事例
- 単身赴任者に支給した帰郷交通費は、職務を遂行するための旅行でなく、帰郷に要する交通費の負担を軽減するために支給されたものであるとして、当該単身赴任者に対する給与所得に該当するとした事例
- ソフトウエアに係る著作権を侵害したとして外国法人に対し支払った金員は、所得税法第161条《国内源泉所得》第7号ロに規定する著作権の使用料に当たるとした事例
- 損金に算入した養老保険の保険料相当額が、保険金受取人である従業員に対する給与(経済的利益の共与)に当たるとした事例
- 家族を外国に居住させ、自らは国内に住民票を置き、出入国を繰り返している請求人代表者を所得税法第2条第1項第3号の「居住者」に該当すると判断した事例
- わが国において韓国芸能人に支払った人的役務の提供に対する報酬は、日韓租税条約上免税にならないとした事例
- 請求人の元理事長らが不正行為により流用等した金員等は、当該元理事長らに対する給与所得又は退職所得として、請求人は源泉徴収義務を負うと認定した事例
- 審査請求人が架空仕入れ等を計上して支出した現金について、審査請求人の代表者に支給した臨時の給与であり、役員賞与に該当すると認定した事例
- 貸付金に係る利息相当額の経済的利益の供与に基づく源泉所得税の納税告知を取り消した事例
- 請求人が実施した社員旅行は、社会通念上一般的に行われているレクリエーション行事として行われる旅行とは認められないとした事例
- 救急病院等に勤務する医師等に対する宿直料は、本来の職務に従事したことに対する対価であるから、所得税基本通達28−1ただし書は適用できないとした事例
- 養老保険契約に加入し支払った保険料について、請求人は、所得税基本通達36−31の(3)に該当すると主張するが、当該保険契約は、被保険者が主任以上という基準であり、全従業員がその恩恵に浴する機会が与えられているとは認められず、給与に該当するとした事例
- 簿外普通預金からの払戻金の使途は、代表者からの借入金の返済ではなく代表者に対する給与等の支給であるとした事例
- 自己株式の購入価額は適正な価額であるから、資本等の金額のうち取得株式に対応する部分を超える部分については、みなし配当が生じるとした事例
- 合資会社の無限責任社員の死亡退社により生じた持分払戻請求権に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務を負うとした事例
- 請求人の代理店は、請求人との販売委託契約書に基づき請求人の扱っている商品について、請求人と顧客との販売契約の申込みの勧誘等の業務委託を受け、請求人と顧客との売買契約の締結を媒介する役務を請求人に提供していることから、所得税法第204条に規定する外交員に該当するとした事例
- 事業協同組合の組合員の死亡脱退により生じた持分払戻金に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務があるとした事例
- 請求人が負担した本件慰安旅行の参加従事員1人当たりの費用の額は、平成5年分192,003円、平成6年分449,918円及び平成7年分260,332円と、社会通念上一般的に行われている福利厚生行事としてはあまりにも多額であるから、当該従事員が受ける経済的利益は、給与所得として課税するのが相当とした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。