確定拠出年金制度の規約により加入者とされない使用人を対象に打切支給の退職手当等として支払われる給与|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
当社には、50歳以上の使用人が定年(60歳)前に自らの意思で退職する場合には、退職金の支給等で優遇する早期退職優遇制度があるため、今回、採用する確定拠出年金制度では50歳以上の使用人を加入者としないことを規約に定めることとしています。そこで、その規約について労使協議を行ったところ、50歳未満の使用人については、移行日前の勤続期間に係る退職金相当額を一律に資産移換を行うこととし、企業型年金加入者とされない50歳以上の使用人には移行日前の過去勤務期間に係る打切支給を実施することで合意を得ました。
この場合、引き続き勤務する50歳以上の使用人に対して一律に支払われる一時金は、所得税法上どのように取り扱われますか。
【回答要旨】
退職所得として取り扱っても差し支えありません。
照会の一時金は、次の理由から合理的な理由による退職金制度の実質的改変により精算の必要があって支給されるものと認められますので、「退職所得」として取り扱って差し支えありません(所得税法第30条第1項、所得税基本通達30−2(1))。
確定拠出年金制度の老齢給付金の支給を受けるためには、原則として10年以上の通算加入者期間を必要とすることから(確定拠出年金法第33条)、受給者のライフプランを考慮すると、早期退職者優遇制度がある場合には、50歳以上の使用人を加入者としないことを規約に定めることは合理性があると認められること。
(注) 確定拠出年金法上は、50歳以上の使用人を企業型年金加入者としない場合であっても、一定の合理性があるものと認められています(確定拠出年金法第3条第3項第6号、平成13年8月21日付年発第213号「確定拠出年金法並びこれに基づく政令及び省令について(法令解釈)」通知(厚生労働省))。
移行日前の勤続期間に係る打切支給が各使用人の意思にかかわらず一律に行われること。
50歳以上の使用人に対する早期退職優遇制度がある場合には、社会的な慣行からみて定年前の早期に退職する蓋然性が高いものと考えられること。
【関係法令通達】
所得税法第30条第1項、所得税基本通達30−2(1)、確定拠出年金法第3条第3項第6号、第33条、平成13年8月21日付年発第213号「確定拠出年金法並びにこれに基づく政令及び省令について(法令解釈)」通知(厚生労働省)
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/21.htm
関連する質疑応答事例(所得税)
- 企業内退職金制度の廃止による打切支給の退職手当等として支払われる給与(個人型の確定拠出年金制度への全員加入を契機として廃止する場合)
- 妊婦の定期検診のための費用
- 転勤命令後、家族が後から転居した場合の再適用の可否
- 人間ドックの費用
- 外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い
- 差額ベッド料
- 企業内退職金制度の廃止による打切支給の退職手当等として支払われる給与(退職給付債務を圧縮する目的で廃止する場合)
- 財産分与により住宅を取得した場合
- 地震保険料控除に関する経過措置
- 特定増改築等住宅借入金等特別控除の対象となるバリアフリー改修工事
- 特定保健指導に基づく運動施設の利用料
- 一時払養老保険の保険金額を減額した場合における清算金等に係る一時所得の金額の計算
- 肉用牛の5%課税の適用を受ける場合の住宅借入金等特別控除
- 事業主が従業員に掛けている生存給付金付養老保険の生存給付金及び満期保険金を受領した場合
- 生命保険金の受取人が2人いる場合の一時所得の金額の計算
- 業務用信託財産を取得するための借入金の利子等
- 中小企業退職金共済制度への移行による打切支給の退職手当等として支払われる給与(払込上限額を超過する部分を一時金として支払う場合)
- 新築の日前2年以内に取得した土地等の先行取得に係る借入金(家屋に抵当権の設定がない借入金)
- 保証期間付終身年金契約に基づく年金の繰上受給
- 債権譲渡があった場合
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。