母体企業の倒産によって厚生年金基金が解散し、その残余財産の分配一時金が支払われる場合|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
当社は業績悪化等の理由から倒産することになり、当社が設立事業所となっている厚生年金基金は、厚生労働大臣の認可を受けて解散します。
当社の従業員は全員解雇することとなりますが、解雇後に従業員に対して厚生年金基金の解散に伴う残余財産の分配一時金が支払われます。この分配一時金は、所得税法上どのように取り扱われますか。
【回答要旨】
退職所得として取り扱って差し支えありません。
厚生年金基金の解散に伴う残余財産の分配一時金は、厚生年金基金の解散という事実がその支払われる原因であって、退職に基因して支払われるものではないため、みなし退職所得に当たらず、「一時所得」とされます(所得税法第34条)。
しかし、母体企業の倒産によって厚生年金基金を解散する場合には、通常、母体企業が消滅しているため、従業員はその解散日以前に退職しているのが通常です。このような事実による場合には、厚生年金基金の解散に伴う残余財産の分配一時金であっても、「加入員の退職に基因して支払われるもの」に当たり、退職所得として取り扱われることになります(所得税法第31条第2号)。
照会の場合も、従業員の全員を解雇し、解雇後に分配一時金が支払われるとのことですから、従業員に退職の事実が認められ、厚生年金基金の解散に伴う残余財産の分配一時金であっても、「退職所得」として取り扱って差し支えありません。
なお、母体企業が消滅する場合であっても、企業合併のように退職の事実が認められない場合には、原則として一時所得となります(所得税法第34条第1項)。
【関係法令通達】
所得税法第31条第2号、第34条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/22.htm
関連する質疑応答事例(所得税)
- ホクロの除去費用
- 居住する前に行った自己の所有する住宅の増改築等工事
- 借入金等を借り換えた場合
- 債務を承継した場合
- 平成19年4月1日以後に相続により減価償却資産を取得した場合
- 条例に基づき支給する「失業者の退職手当」の取扱い
- 門や塀等の取得対価の額
- 居住を開始した年の途中で転勤命令により転居し、その後に再居住した場合の住宅借入金等特別控除の適用の可否
- 確定給付企業年金規約に基づいて年金受給者が老齢給付金の一部を一時金で支給を受けた場合
- 非業務用資産を業務の用に供した場合
- ビニールハウスの耐用年数
- 一時所得の金額の計算(一時所得内の内部通算の可否)
- 敷地の持分と家屋の持分が異なる場合
- 確定給付企業年金の給付減額に伴い支給される一時金
- 被買収会社の従業員に付与されたストックオプションを買収会社が買い取る場合の課税関係
- 投資顧問会社に支払う年会費及び成功報酬
- オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療に係る費用の医療費控除
- 夫婦年金保険に係る新個人年金保険料
- 中小企業退職金共済制度への移行による打切支給の退職手当等として支払われる給与(払込上限額を超過する部分を一時金として支払う場合)
- 特定保健指導に基づく運動施設の利用料
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。