公益財団法人の交際費課税上の資本又は出資の額|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
公益財団法人A公社の基本財産2,000万円については、その全額をB市が拠出しています。公益法人等については、資本又は出資の有無によりその交際費等の損金算入限度額の算定に係る規定が異なりますが、A公社は、次のことから資本又は出資の額を2,000万円として租税特別措置法施行令第37条の4((資本金の額又は出資金の額に準ずるものの範囲等))第2号の規定を適用して差し支えありませんか。
基本財産2,000万円については、B市の出資財産として同市が管理しています(市の「出資による権利台帳」に登録されています。)。
解散の場合の残余財産は、評議員会の決議を経て、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で定めており、その全てをB市に帰属させる予定です。
B市は、その出資団体に対する監査(地方自治法第199条第7項)を行っています。
【回答要旨】
公益財団法人の基本財産は「資本又は出資」に該当しませんので、「資本又は出資を有しない公益法人等」として租税特別措置法施行令第37条の4第3号の規定が適用されます。
(理由)
「資本又は出資」とは、法人が事業を営むための元手として出捐された金銭等の額を意味すると同時に、当該出捐によりその出捐者が取得する持分又は出資持分をも意味すると考えられます。
公益財団法人は、一定の目的のために出捐された財産を運営するために作られ、行政庁の認定を受けた法人であり、その法人の実体は、その出捐された財産そのものであって、持分又は出資持分という観念はありません。
したがって、公益財団法人の基本財産は持分のない単なる出捐ですから、「資本又は出資」とはいえません。
なお、公益社団法人並びに非営利型法人に該当する一般社団法人及び一般財団法人についても「資本又は出資を有しない公益法人等」として租税特別措置法施行令第37条の4第3号の規定が適用されます。
(注)
1 B市が本件基本財産を「出資による権利台帳」に登録しているとしても、単に当該財産を出捐した記録をとどめているにすぎませんから、これをもって持分があるとはいえません。
2 解散の場合の残余財産がすべてB市に帰属することが予定されているとしても、それは、当該法人の業務内容等から評議員会の決議を得て地方公共団体である同市に帰属させられるものであって、本件基本財産の拠出者たる地位に基づき当然に帰属するというものではありません。
3 地方自治法上、地方公共団体がその資本金、基本金その他これらに準ずるものの25%以上を「出資」した法人に対して監査委員会の監査が行われることとされていますが(地方自治法第199条第7項、地方自治法施行令第140条の7第1項)、この「出資」は単なる出捐を意味しているものと考えられます。
【関係法令通達】
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第11条第2項、第153条第3項
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第2条第2号、第4条、第5条第17号
租税特別措置法施行令第37条の4
地方自治法第199条第7項
地方自治法施行令第140条の7第1項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/15/05.htm
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