役員報酬(事前確定届出給与)で節税 (*2015年版)
*この節税対策情報は2015年時点のものです。直近のものは「役員報酬(事前確定届出給与)で節税」をご確認ください。
役員賞与は損金算入できません
原則的に役員賞与は法人税において損金処理できず、必要経費にはなりません。それにも関わらず、役員賞与を受け取った役員の所得税においては、給与所得として課税されます。法人税と所得税のダブルパンチで課税されるので、非常に不利です。そのため、役員賞与を利益調整手段として利用することはできません。ところが、「事前確定届出給与」を役員賞与のように利用すれば、多少の手間はかかりますが、法人の利益調整が可能になります。しかもノーリスクで。
事前確定届出給与の活用方法について
法人税法において損金算入が認められる役員報酬は、定額の月次報酬(定期同額給与)が最もポピュラーです。けれども、遡って報酬額を改定することはできませんし、改定も年一回しかできません。損金として認められる役員報酬は、上記の月次報酬以外に2つあります。
- 事前確定届出給与
- 一定の利益連動給与
- No.5209 役員に対する給与(平成19年4月1日以後に開始する事業年度分) | タックスアンサー(国税庁)
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事前確定届出給与の要件
「事前確定届出給与」の要件を満たせば、月次報酬とは別に、役員に対する年数回の報酬を損金として計上することが可能になります。「定期同額給与」は月次報酬そのものですが、「事前確定届出給与」は役員賞与に近い位置付けとなります。また、「事前確定届出給与」を活用することで、非常勤役員に対して年1回だけ報酬を支払うことも可能になります。
事前確定届出給与の要件は以下の2つを全て満たすことです。
- 税務署に対して、役員ごとに「支給日」と「支給額」を事前に届け出る。
- 上記の内容通りに正確に支給する。
事前確定届出給与の届出期限は、原則として以下のうちいずれか早い日となります。
- 株主総会(社員総会を含む)の決議日から1ヶ月を経過する日
- その会計期間開始の日から4ヶ月を経過する日
- 6月20日(※株主総会から1ヶ月後)
- 8月 1日(※会計期間開始をから4ヶ月後)
ただし、新設法人の場合は設立日以後2ヶ月を経過する日となります。
[手続名]事前確定届出給与に関する届出
www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/ann...
事前確定届出給与の注意点
使い勝手のよい事前確定届出給与ですが、法人の利益が思ったより出なかったときには注意が必要です。この場合、事前確定届出給与を一部だけ支給しても損金処理できないので、支給すべきではありません。あくまでも事前に届けた「支給額」を正確に支給する必要があります。
事前に設定した「支給額」を支給しない場合は、「支給日」以前に取締役会を開催し、以下の2点を決議しておくなどの対策が必要となります。
- 事前確定届出給与を当該役員に対して支給しないこと。
- 事前確定届出給与の受取を当該役員が辞退したこと。
事業年度の途中で「事前確定届出給与に関する変更届出」を提出することにより、内容を変更することが可能です。その際、臨時改定事由か業績悪化改定事由が必要となります。
- 臨時改定事由(役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更等。法人税法施行令第69条第1項第1号ロ)
- 業績悪化改定事由(経営の状況が著しく悪化したこと等。法人税法施行令第69条第1項第1号ハ)
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関連する法令・通達
- 第三目 役員の給与等(第三十四条―第三十六条) |法人税法
- 第七目の二 減価償却資産の償却費の計算の細目(第六十三条の二)|法人税法施行令
- 第七款 繰越欠損金(第二十六条―第二十六条の六) |法人税法施行規則
- 第4款 事前確定届出給与|法人税法
- 第6款 過大な役員給与の額|法人税法
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関連する裁決事例
- 給料手当勘定に含めて支出した金員は慶弔費等の支払に充てられた事実はなく役員賞与に該当するとした事例
- 役員給与の減額理由が業績悪化改定事由に該当しないから減額後の定期給与の額を超える部分は定期同額給与とはいえず損金の額に算入することができないとした事例
- 請求人の支給した役員給与は事前確定届出給与に該当せず、損金の額に算入することはできないとした事例
- 法人がその役員個人との業務委託契約に基づきその業務の対価として役員に支払った金員を役員賞与に該当するとした事例
注意事項
*この節税対策情報は2015年時点のものです。直近のものは「役員報酬(事前確定届出給与)で節税」をご確認ください。
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