請求人と雇用関係にない会社から付与された新株予約権の行使に係る経済的利益は、一時所得ではなく雑所得と認めた事例
裁決事例(国税不服審判所)
2008/05/13 [所得税法][所得の種類][雑所得] 請求人は、請求人と雇用関係がないA社から付与された本件新株予約権の行使に係る本件権利行使益は、役務その他の労務の対価ではなく、一時的、偶発的な所得であるから、一時所得に該当する旨主張する。
しかしながら、本件新株予約権の付与に当たって、具体的な役務の提供が明示的に合意されていたとはいえないとしても、請求人は、A社に対する社外協力者として同社の必要に応じて協力し、仮に、将来転職する場合には同社への入社を優先するなどの義務を負う社外協力者としての地位にあり、同社は、このような義務を伴う地位に就いていることを継続することの見返りとして本件各新株予約権を付与ないし割り当てたものということができる。
そして、本件新株予約権については、その権利を譲渡し又は処分等することはできないものとされており、請求人は、これを行使することによって、初めて経済的利益を受けることができるものとされているのであるから、A社は、請求人に対し、本件新株予約権に係る付与契約により本件新株予約権を付与し、その約定に従って所定の権利行使価格である株式を取得させたことによって、本件権利行使益を得させたものということができる。
したがって、本件権利行使益は、A社から請求人に与えられた給付に当たるものというべきで、本件各新株予約権を行使して得た本件権利行使益は、労務その他の役務の提供の対価としての性質を有するというべきである。
以上によると、本件権利行使益は、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得のいずれにも該当せず、また、労務その他の役務の対価として供与されたものであるから、一時所得には該当せず、雑所得に該当する。
平成20年5月13日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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