任意団体を通じて国立大学法人に対して行う寄附金|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
大学OB会の構成員(個人)からの金銭による寄附をOB会が取りまとめて母校(国立大学法人)に支出します。この場合、構成員はこの寄附金についてOB会が発行した寄附金領収書により、寄附金控除の適用を受けることができますか。
【回答要旨】
国立大学法人に対して支出した寄附金について寄附金控除の適用を受けるためには、その国立大学法人が発行した寄附金領収書を確定申告書に添付し又は確定申告書の提出の際に提示する必要があります。
国立大学法人に対して支出された寄附金で、国立大学法人法第22条第1項第1号から第5号までに掲げる業務に充てられるものについては寄附金控除の対象とされています。この寄附金について寄附金控除の適用を受けるためには、その寄附金を受領した国立大学法人が寄附金を受領した旨、その寄附金の額及びその受領した年月日を証する書類(寄附金領収書)を確定申告書に添付し又は確定申告書の提出の際に提示しなければならないとされています(所得税法第120条第3項第1号)。
したがって、寄附金控除の適用を受けるためには、OB会が発行した寄附金領収書ではなく、その国立大学法人が発行した寄附金領収書が必要になります。
なお、所得税基本通達78−4では、国立又は公立の学校等の施設の建設又は拡張等の目的をもって設立された後援会等に対する寄附金であっても、その目的である施設が完成後遅滞なく国又は地方公共団体に帰属することが明らかなものは、所得税法第78条第2項第1号に規定する国又は地方公共団体に対する寄附金に該当することとされています。しかし、国立大学は、国立大学法人法の施行により、平成16年4月1日から国立大学法人に移行していることから、平成16年4月1日以後に国立大学法人に対して支出した寄附金は国に対する寄附金に該当せず、この所得税基本通達78−4の取扱いは適用されず、上記回答のとおりとなります。
- (注)1 国立大学法人法第22条第1項第1号から第5号までに掲げる業務は次の業務です。
- (1) 国立大学を設置し、これを運営すること。
- (2) 学生に対し、修学、進路選択及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行うこと。
- (3) 当該国立大学法人以外の者から委託を受け、又はこれと共同して行う研究の実施その他の当該国立大学法人以外の者との連携による教育研究活動を行うこと。
- (4) 公開講座の開設その他の学生以外の者に対する学習の機会を提供すること。
- (5) 当該国立大学における研究の成果を普及し、及びその活用を促進すること。
- 2 所得税基本通達78−4の取扱いに関し、募集団体が募集する寄附金が国等に対する寄附金に該当するかどうかについては、「国等に対する寄附金又は災害義援金等に関する確認事務について(事務運営指針)」(平成14年2月25日課法2−3、課個4−2(最終改正平成20年12月22日課法2−12、課個2−35))により確認することとしています。
【関係法令通達】
所得税法第78条第2項第1号、第120条第3項第1号、所得税法施行令第262条第1項第7号、所得税法施行規則第47条の2第3項第1号イ、昭和40年大蔵省告示第154号(最終改正平成20年財務省告示第345号)、所得税基本通達78−4
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/05/69.htm
関連する質疑応答事例(所得税)
- 変額年金保険の一部を定額年金保険に変更した場合の解約金に係る課税関係
- かぜ薬の購入費用
- 金やポーセレンを使用した歯の治療費
- 従業員を被保険者とする保険契約の転換をした場合
- 居住の用に供する部分の敷地の面積
- 外貨建取引による株式の譲渡による所得
- 確定申告書の提出時までに補助金が交付されない場合
- 事業を廃業した場合の繰延消費税額等の処理
- 1枚の生命保険料控除証明書に旧生命保険料と新生命保険料の記載がある場合
- 療養中のため家事を家政婦に依頼した場合の費用
- 床面積の判定
- 家事兼用資産に係る特別税額控除について
- 役員に付与されたストックオプションを相続人が権利行使した場合の所得区分(6か月以内に一括して行使することが条件とされている場合)
- 事業用固定資産の取得に伴う生命保険契約の保険料
- 旧定率法を選定していた者が新たに資産を取得した場合
- 家族のみが再居住した場合
- 社会保険診療報酬の所得計算の特例適用者が土地購入契約を解約したため返戻されないこととなった手付金
- 医療費の支払者と保険金等の受領者が異なる場合
- ストックオプション契約の内容を税制非適格から税制適格に変更した場合
- 病院に支払うテレビや冷蔵庫の賃借料等
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。