法人成りした場合の一括償却資産の必要経費算入|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
Aは、今般、それまで個人事業として営んできた飲食業を法人成りすることとしました。
ところで、Aの事業の用に供していた資産には一括償却資産があり、前年までに必要経費に算入されていない金額があります。法人成りに当たって、この一括償却資産は法人に引き継ぐこととしていますが、必要経費に算入されていない金額はどのようになりますか。
【回答要旨】
一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入していない部分は、全て廃業した年分の事業所得の必要経費に算入します。
一括償却資産を構成する個々の減価償却資産について、譲渡、除却等の事実が生じた場合であっても、その個々の減価償却資産の取得価額に対応する金額を譲渡所得等の金額の計算上、取得費として控除したり、損失として計上することはできず、一度一括償却資産としたものについては、3年間にわたりこの均等償却を続けることになっています(所得税法施行令第139条、所得税基本通達49−40の2)。
一方、一括償却資産につき相続があった場合には、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分については、原則として死亡した日の属する年分の事業所得等の必要経費に算入することとし、例外的に死亡した日の属する年の翌年以後の各年分に対応する部分については、相続により業務を承継した者の必要経費に算入することとしても差し支えないものとされています(所得税基本通達49−40の3)。
これらの取扱いからすると、法人成りの場合には、事業が廃止され、その事業を承継する人もいませんので、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分は、全て廃業した日の属する年分の事業所得の必要経費に算入するのが相当です。
【関係法令通達】
所得税法施行令第139条、所得税基本通達49−40の2、49−40の3
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/04.htm
関連する質疑応答事例(所得税)
- 不妊症の治療費・人工授精の費用
- 医師による治療のため直接必要な眼鏡の購入費用
- 地方公共団体が要介護者と同居する家族へ支給する手当金の所得税法上の取扱い
- 繰上返済等をした場合の償還期間
- 懲戒処分取消に伴い支払われる給与差額補償
- 債務返済支援保険の保険金
- かぜ薬の購入費用
- 業務用信託財産を取得するための借入金の利子等
- 姉の子供の医療費を支払った場合
- 確定申告書で申告しなかった上場株式等の配当を修正申告により申告することの可否
- B型肝炎ワクチンの接種費用
- 限定承認をした相続財産から生じる家賃
- 家事兼用資産に係る特別税額控除について
- 一時払養老保険の保険金額を減額した場合における清算金等に係る一時所得の金額の計算
- 建物を転用した場合の減価償却費の計算
- 地震保険料控除に関する経過措置
- 権利変換により取得した代替資産等に係る減価償却費の額を計算するときの取得時期
- 政党等寄附金特別控除と寄附金控除の選択替え
- 無痛分べん講座の受講費用
- 「同居」の範囲(長期間入院している場合)
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。