社団医療法人と基金を引き受ける者との間で作成する基金拠出契約書|印紙税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
社団医療法人Aは、平成19年4月施行の改正医療法に基づき認可・設立された法人です。
社団医療法人Aでは、医療法施行規則第30条の37に規定する基金として金銭その他の財産の拠出を受けるに際し、拠出者との間で当該拠出を引き受ける旨、拠出する基金の額とその内訳(拠出財産の種類及び金額)、拠出方法及び拠出財産の返還方法等を定めた「基金拠出契約書」を締結しますが、この基金拠出契約書に係る印紙税の取扱いはどのようになるのでしょうか。
【回答要旨】
ご質問の基金拠出契約書に係る印紙税の取扱いは、拠出された財産の種類等により、次のとおりとなります。
金銭の場合 第1号の3文書
金銭以外の財産の場合
不動産、無体財産権、船舶等の場合 第1号の1文書
地上権又は土地の賃借権の場合 第1号の2文書
金銭債権の場合 第15号文書
なお、第1号文書と第15号文書の2つの号に該当する文書の場合は、通則3のイの規定により第1号文書に所属が決定されることになります。((参照)2以上の号に該当する文書の所属の決定)
(理由)
医療法施行規則第30条の37に規定する「基金」とは、社団医療法人で持分の定めのないものに拠出された金銭その他の財産であって、当該医療法人が基金の拠出者に対して、医療法施行規則第30条の37及び第30条の38並びに当該医療法人と拠出者との間の合意の定めるところに従い返還義務(金銭以外の財産については、拠出時の当該財産の価額に相当する金銭の返還義務)を負うものとされています。
このようなことから、ご質問の基金拠出契約書に係る印紙税の取扱いについては、拠出された財産の種類等により、次のとおりとなります。
拠出財産が金銭の場合
拠出者から金銭の拠出を受け、金銭で返還するものですから、民法第587条に規定する消費貸借に該当します。
したがって、この場合の基金拠出契約書は、第1号の3文書(消費貸借に関する契約書)に該当します(基通第1号の3文書1)。
拠出財産が金銭以外の財産の場合
拠出者から金銭以外の財産の拠出を受け、金銭で返還するものですから、当該拠出財産に係る所有権等の権利は拠出者に返還されず、社団医療法人Aに帰属することになります。すなわち、当該拠出財産が拠出者から社団医療法人Aへ移転(譲渡)されたことになります。
したがって、この場合の基金拠出契約書は、拠出財産の種類、内容に応じ、課税文書に該当するかどうか判断することになります。例えば、拠出財産が不動産の場合には第1号の1文書(不動産等の譲渡に関する契約書)、金銭債権の場合には第15号文書(債権譲渡に関する契約書)に該当します。
【関係法令通達】
印紙税法基本通達13、第1号の3文書1
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は照会及び回答ともその要旨のみを収録したものであり、必ずしも事案の内容の全部を表現していないため、類似事案に応用する場合には、直ちに結論のみを引用することなく、その事実関係を十分に検討の上、それぞれの事案に応じた法令・通達等の適正な解釈・適用を行うよう配慮する必要がある。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/inshi/10/13.htm
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