いわゆる「三角合併」において端数調整金の交付を受けた被合併法人の株主における課税関係について|法人税

[いわゆる「三角合併」において端数調整金の交付を受けた被合併法人の株主における課税関係について]に関する質疑応答事例。

質疑応答事例(国税庁)

【照会要旨】

 A社の100%子会社であるB社と出資関係を有しないC社との間で、B社を合併法人とする適格合併を予定しています(A社、B社及びC社はいずれも株式会社です。)。
 この合併は、C社の株主に交付する対価をB社株式ではなく、B社の親会社の株式であるA社株式とするいわゆる「三角合併」により行うことを予定していますが、合併比率に端数が生じ、交付すべきA社株式の数に1に満たない端数が生じることから、この端数に相当する金銭(端数調整金)をC社の株主に交付することとしています。この場合において、被合併法人C社の株主における端数調整金に係る課税関係はどのようになるでしょうか。

【図】

【回答要旨】

 C社の株主においてA社株式の端数部分の交付を受け、これを直ちに譲渡しその対価として金銭を受け取ったものと取り扱われるため、その譲渡に係る課税関係が生じます。
 ただし、端数調整金に相当する金額を雑益等として益金の額に算入する処理も認められます。

(理由)

  • 1 合併に伴い被合併法人の株主である法人が、被合併法人の株式を有しないこととなった場合には、一定の要件を満たす場合を除き、その合併の日の属する事業年度に当該被合併法人の株式の譲渡に係る譲渡損益を計上することになります(法法61の2、法規27の3九)。
  • 2 ただし、その合併により、被合併法人の株主に合併法人株式(合併法人の株式をいいます。)又は合併親法人の株式(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係とされる一定の関係がある法人の株式をいいます。)のいずれか一方の株式のみが交付された場合には、上記1の譲渡損益の算定に際し、被合併法人の株主は被合併法人の株式の譲渡対価の額を当該合併直前の被合併法人の株式の帳簿価額に相当する金額として計算することとされていますので(法法61の2)、譲渡対価の額と譲渡原価の額が同額(いずれも合併の直前の被合併法人の株式の帳簿価額)となり、譲渡損益は生じません。
  • 3 また、合併対価として交付すべき合併親法人株式の数に1に満たない端数が生ずる場合で、その端数に応じて金銭が交付されるときは、その端数に相当する部分は合併親法人株式に含まれるものとして、株主の各事業年度の所得の金額の計算をすることとされています(法令139の3の2)。このとき、被合併法人の株主は一旦端数に相当する部分の合併親法人株式の交付を受け、これを直ちに譲渡してその金銭を受領したものとして譲渡損益を認識することとされています(法法61の2、法基通2−3−25)。
  • 4 したがって、ご照会の「三角合併」においてC社の株主が端数調整金の交付を受けた場合には、一旦その端数に相当する合併親法人の株式であるA社株式の交付を受け、これを直ちに譲渡し端数調整金を受け取ったものとして譲渡損益の計算を行うこととなります。
     具体例を示すと、次のようになります。

    【例】C社株主甲社の端数調整金に係る譲渡損益の計算
     C社株主である甲社は、合併直前において、C社株式を1,055株(帳簿価額527,500円。@500円)保有していたところ、その合併により、甲社はA社株式527.5株の割当てを受け、A社株式527株と端数調整金600円を受領した。
     合併に際しては、C社株式(時価@600円)1株につき、A社株式(時価@1,200円)0.5株が割り当てられている。

    (甲社における処理)

  • 5 ただし、上記の処理によらず、甲社が受領した端数調整金を雑益等として益金の額に算入する処理も認められています(法基通2−3−25ただし書)。

【関係法令通達】

 法人税法第61条の2第1項、第2項
 法人税法施行令第139条の3の2第1項
 法人税法施行規則第27条の3九
 法人税基本通達2−3−25

注記
 平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
 この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

出典

国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/33/32.htm

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