被支援者に対する要支援額の算定|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
一般的に被支援者に対する要支援額は、再建期間において実現する損失額及びそれ以前に生じた損失の累計額の合計額から自己努力による利益額を控除した金額を基礎として算定することになると考えられますが、その要支援額の算定に当たっては会計上の累積欠損金額を無条件に含めてよいのでしょうか。
【回答要旨】
被支援者に対する要支援額は、累積欠損金額をも含め、経営危機の原因となっている損失の総額を基礎として算定することとなります。
(理由)
経営危機の原因となる損失には、その発生時期の違いから、支援開始時においては、資産の含み損(不良債権の担保割れ額、有価証券の含み損等)のように顕在化していないものや、不良債権の償却、有価証券の評価損の計上、本業の経営悪化による損失の発生等により累積欠損金となって既に顕在化しているものがあると考えられます。
これらの損失は、経営危機の原因になっているという点において異なるところはなく、また、再建計画の最終目標は、これらの損失を根本的に解消して被支援者を健全な状態に回帰させることにあると言えますので、要支援額を計算するに際して、累積欠損金額を計算の基礎に置くことによって計算の合理性が損なわれるものとは言えません。
従いまして、被支援者に対する要支援額は、累積欠損金額をも含め、経営危機の原因となっている損失の総額を基礎として算定することとなります。
なお、再建後のあるべき姿を明確にする過程で、累積欠損金額のすべてを解消する必要があるかどうかについて検討し、単に累積欠損金額であるということのみでその全額を支援額に含めるのではなく、再建計画中に必要とされる支援額を的確に算定することが重要です。
【関係法令通達】
法人税基本通達9−4−2
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/13/21.htm
関連する質疑応答事例(法人税)
- 住宅瑕疵担保責任保険の保険料等に係る税務上の取扱い
- 圧縮記帳の対象となる交換の範囲
- 風力・太陽光発電システムの耐用年数について
- 短期の損害保険契約に係る保険料を分割で支払った場合の税務上の取扱い
- 登録を要しない自動車の耐用年数
- 関係者が複数いる場合の支援者の範囲(例えば1社支援の場合)の相当性
- 債権放棄を受けた場合の法人税法第59条第2項の規定の適用の有無の検討(特定調停)
- 法人が解散した場合の設立当初からの欠損金額の損金算入制度(法法59)における「残余財産がないと見込まれるとき」の判定について
- 倉庫用建物等の割増償却制度における青色申告法人要件
- 一定の水準を満たすものとして地方公共団体の証明を受けた認可外保育施設において公益法人等が行う育児サービス事業に係る収益事業の判定
- 底地同士を交換する場合の交換の圧縮記帳
- 解約返戻金のない定期保険の取扱い
- 譲渡資産について契約解除があった場合の圧縮記帳の取戻し
- いわゆる「三角分割(分社型分割)」に係る適格要件について
- 職務執行期間の中途で支給した事前確定届出給与(事前確定届出給与)
- 生産性向上設備投資促進税制(租税特別措置法第42条の12の5)の適用対象資産を2以上取得した場合の特別償却と税額控除の選択適用
- 経営危機に陥っていない子会社等に対する支援
- 結婚式場用資産の耐用年数
- 役員に対する歩合給(定期同額給与)
- 分割後に分割承継法人が上場する場合の株式継続保有要件について
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。