太陽光発電設備の連系工事負担金の取扱いについて|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
甲社は、太陽光発電設備を取得し、発電した電力を電力会社へ売電する事業を行う予定です。
太陽光発電設備により発電した電力を電力会社に供給するためには、電力会社の電気供給設備に太陽光発電設備を接続(系統連系)する必要があり、この系統連系に伴い、電力会社の電気供給設備を新たに設置又は変更する場合には、その工事費用については、電力会社との間の契約に基づき甲社が負担することとしています。
この場合、甲社が負担する工事費用(以下「連系工事負担金」といいます。)は、繰延資産に該当しますか。また、繰延資産に該当するのであれば、「電気ガス供給施設利用権」(耐用年数省令別表三)の耐用年数に準じて15年間で償却して差し支えありませんか。
【回答要旨】
当該連系工事負担金は、繰延資産に該当します。また、その償却期間は15年として差し支えありません。
(理由)
1 連系工事負担金について
甲社は、連系工事負担金を支出することで電力会社の送配電網を利用して、発電した電力を売電できるようになるため、連系工事負担金は、甲社にとって自己が便益を受けるために支出する費用でその支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶものとして繰延資産に該当します(法2二十四、法令14六ホ)。
なお、連系工事負担金は、電力会社の所有物となる電気供給設備の工事費用を甲社が負担するものであり、甲社の所有する太陽光発電設備に対する支出ではないため、これを固定資産の取得価額に含めることはできません。
2 償却期間について
連系工事負担金(繰延資産)の償却期間については、系統連系工事によって設置される電気供給設備の耐用年数や電力会社との契約期間等を基に合理的に見積もることとなります(法基通8-2-1)。
ところで、事業者が、電力会社から電気の供給を受けるため、電力会社における電気供給施設を設けるための費用を当該事業者が負担することがあり、この場合の負担金は、無形減価償却資産である「電気ガス供給施設利用権」に該当し、その法定耐用年数は当該施設の耐用年数等も踏まえ「15年」とされています(法令13八ヨ、耐用年数省令別表第三)。
連系工事負担金は、電力会社の電気供給設備についてその工事費を負担するという点や系統連系工事により設置される電気供給設備と上記負担金により設置される施設の内容とが類似しており、連系工事負担金の償却期間について、「電気ガス供給施設利用権」の耐用年数に準じて「15年」とすることは合理的と考えられます。
なお、連系工事負担金の償却期間について、例えば、電力会社との契約における受給期間とするなど、発電事業者が償却期間を合理的に見積もっている場合は、当該期間によっても差し支えありません。
(注) 受給期間は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第3条第1項《調達価格及び調達期間》に規定する調達期間(固定価格で買い取る期間)を限度として電力会社と発電事業者との契約で設定される期間であり、その期間内は売電を行うことが合意されています。
なお、例えば、受給期間を1年とし、自動更新というような場合は受給期間の終期が定められていないことから、調達期間(10KW以上20年、その他10年)を受給期間とみることとなります。
また、繰延資産として支出する金額が20万円未満である場合には、その支出の日の属する事業年度において損金経理をした金額は損金の額に算入することとされています(法令134)。したがって、連系工事負担金として支出する金額が20万円未満である場合には、その全額を支出の日の属する事業年度の損金の額に算入することができます。
【関係法令通達】
法人税法第2条第24号
法人税法施行令第13条第8号ヨ、第14条第1項第6号ホ、第54条、第134条
減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第3
法人税基本通達8-2-1
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第3条第1項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/06/06.htm
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