周波数移行に伴うソフトウェア修正費用の取扱い|法人税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
- (1) 衣料品小売業を営む甲社は、商品の販売管理・在庫管理のため、電子タグに対応したPOSレジシステムを導入しています。POSレジシステムでは、商品の販売時に、商品に付した電子タグをアンテナにかざすことにより、アンテナから発せられる電波を利用して、電子タグに書き込まれた情報を読み取り、その読み取られた情報を読み取り機(リーダ/ライタ)を通じてPOSレジに連携させることで、商品の精算処理等が行われます。
【POSレジシステムのイメージ】
- (2) 電波法の改正(平成23年8月施行)により導入された終了促進措置(下記(注)参照)により、甲社は、同法に定める認定開設者である携帯電話事業者(以下「認定開設者」といいます。)との間で、甲社がPOSレジシステムで使用していた電波の周波数帯を早期移行し、この周波数帯移行に必要な費用を認定開設者が負担することについて合意しました。今後、甲社が、周波数帯を移行するには、POSレジシステムで利用している読み取り機(リーダ/ライタ)やアンテナなどの機器を新周波数帯に対応したものに交換することとなります。また、従前と同様にPOSレジを稼動させるため、POSレジで使用しているソフトウェアについても、新たな読み取り機(リーダ/ライタ)等に対応できるよう、外部業者に委託してプログラムを修正する必要があります。
POSレジで使用しているソフトウェアは、電子タグから読み取った情報をセンターシステムのデータベースに問い合わせたり、該当する商品の情報をPOSレジ画面に表示するなどの機能を有するものですが、今回行うプログラムの修正は、新周波数帯に対応した読み取り機(リーダ/ライタ)で読み取ったデータをシステムに取り込むための最小限の修正を行うものであり、従来から使用しているプログラムと同等の機能を維持するために行う修正にとどまり、新たな機能を追加したり、従来より機能を向上させるものではありません。 - (3) 甲社は、認定開設者から、このプログラムの修正に要する費用相当額の現金を受領し、受贈益を計上することとなりますが、別途、甲社がこのプログラムの修正のために外部業者に支払った費用については、修繕費に該当すると解して差し支えないでしょうか。
(注) 「終了促進措置」とは、携帯電話事業者等の認定開設者が早期に周波数を使用することを目的に、認定開設者と既存の無線局の利用者との合意に基づき、国が定めた周波数の使用期限より早い時期に、周波数移行を完了させるため移行費用等(無線局の無線設備及びこれに附属する設備の取得に要する費用、当該設備の工事に要する費用、プログラムの変更に要する費用等)を認定開設者が負担する等の措置のことです。終了促進措置の概要については、下記リンク先を参照してください。
(www.tele.soumu.go.jp/j/ref/portal/ )
【回答要旨】
照会意見のとおりに解して差し支えありません。
(理由)
法人が、その有するソフトウェアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当します(法基通7−8−6の2)。
ご照会のプログラムの修正は、周波数帯の移行に伴い、新周波数帯に対応した読み取り機(リーダ/ライタ)で読み取ったデータをシステムに取り込むための最小限の修正を行うものであり、従来から使用しているプログラムと同等の機能を維持するために行う修正にとどまるとのことですから、甲社が支出したプログラム修正費用については、修繕費に該当します。
【関係法令通達】
電波法第27条の12第2項第5号
法人税法施行令第132条
法人税基本通達7−8−6の2
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/04/14.htm
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