退職金を分割支給した場合の源泉徴収税額の計算|源泉所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
本年3月に勤続38年で退任した取締役Aについて、株主総会において5,000万円の退職金を支給することが決議されましたが、資金繰りの都合から7月に3,000万円、12月に2,000万円と2回に分割して支給することとしました。
この場合の源泉徴収税額はどのように計算すればよいのでしょうか。
(注) 上記退職金は特定役員退職手当等には該当しません。
【回答要旨】
まず、退職金総額5,000万円について源泉徴収すべき税額を計算し、その税額を各回の支給金額であん分して計算することとなります(所得税基本通達183〜193共-1、201-3)。
照会の場合、具体的には次のようになります。
(1) 勤続38年に対する退職所得控除額……800万円+70万円×(38年−20年)=2,060万円
(2) 退職所得金額の計算……(5,000万円−2,060万円)×1/2=1,470万円
(3) 源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額……(1,470万円×33%−153.6万円)×102.1%=3,384,615円
(4) 7月に徴収する所得税及び復興特別所得税の額……3,384,615円×3,000万円/5,000万円=2,030,769円
(5) 12月に徴収する所得税の額……3,384,615円×2,000万円/5,000万円=1,353,846円
【関係法令通達】
所得税法第30条、第89条、所得税基本通達183〜193共-1、183-193共-2、201-3
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/gensen/04/08.htm
関連する質疑応答事例(源泉所得税)
- 音楽コンクールの審査員に対する謝金
- 入国後、2年を超えて滞在することとなった場合の交換教授免税(日伊租税条約)
- 信託終了後に信託財産に係る損害賠償金を受益者に分配した場合
- 変額個人年金保険の据置期間中に定期的に支払われる引出金に対する源泉徴収の要否
- 非居住者である非常勤役員に支払う退職金
- 居住者が非居住者期間内に国外源泉所得である退職手当等の支払を受けている場合の退職所得控除額
- みなし退職所得に対する租税条約の適用関係
- 海外の特定危険地域在住の従業員を被保険者とする損害保険契約の掛金を会社が負担する場合の経済的利益
- 年の中途で出国し非居住者となった者が後発的事由により帰国し居住者となった場合の年末調整
- 法人でない労働組合が支払を受ける利子の課税関係
- 給与の計算期間の中途で非居住者となった者に支給する超過勤務手当(基本給との計算期間が異なる場合)
- スタイリスト料及びヘアメイク料
- 輸入取立手形のユーザンス金利
- 金銭の払込みに代えて報酬債権をもって相殺するストックオプションの税制適格の要否
- 利子計算期間の中途で債券を取得した場合の租税条約における利子免税条項の適用関係について
- 海外勤務期間内に控除対象扶養親族が死亡した場合の扶養控除の適用
- 退職所得の受給に関する申告書に支払済の退職手当を記載しないで提出した場合の是正方法
- 非居住者に支払う職務発明の対価
- 非居住者の間に退職した者が帰国後に退職給与規程の改訂により支払を受ける改訂差額
- 退職金を分割支給した場合の源泉徴収税額の計算
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。