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年金受給者が、厚生年金の給付水準の引下げに際し、将来の年金の総額に代えて受給した一時金は、勤務先を退職した年分の退職所得に当たるとした事例

[所得税法][所得の種類][退職所得]に関する裁決事例(国税不服審判所)。

裁決事例(国税不服審判所)

2006/07/12 [所得税法][所得の種類][退職所得]

裁決事例集 No.72 - 132頁

 所得税法第30条及び同法第31条の立法趣旨等を踏まえれば、厚生年金保険法第9章の規定により定められた厚生年金基金規約に基づき厚生年金基金から受ける一時金のうち、退職金としての性質を有している一時金、すなわち、元の雇用主が払い込んだ掛金、保険料が給付の原資の大部分を占めているものであり、かつ、退職金規程に定められた退職金に含まれる年金制度からの一時金であるなど、給与所得者であった者が退職日以後に過去の勤務に基づいて支給される一時金で加入員の退職に基因して支払われたと認められるものは、所得税法第31条第2号に規定する一時金で「加入員の退職に基因して支払われるもの」に該当し、税法上、退職所得として取り扱うと解するのが相当である。
 そして、厚生年金基金から支払われる年金のうち退職金としての性質を有している一時金に相当する部分(以下「一時金相当部分」という。)は、加入員、雇用主及び厚生年金基金の合意の下、一定年齢に達した際に、加入員の老後の生活の糧とするために、厚生年金基金に委託することにより、退職金の性質を持つ金員を年金という形式で加入員に分割して支払われるものとみることもできることから、一時金相当部分については、原則、退職時において退職所得としての権利が確定しているとして課税を行うべきものとみることもできるが、所得税法は、当事者の意思及び分割され年金として支払われる支払実態などにかんがみ、同法第35条第2項及び第3項の規定において公的年金等として雑所得である旨規定し、一時金相当部分は、それが分割され年金として支払われている限りは退職所得として課税せず、年金として支払われた年分において雑所得として課税するという、年金としての課税を行うものであると解される。
 そうすると、現に厚生年金基金から、退職金としての性質を有する一時金の一部を年金として支払を受けていた者が、自らの意思に基づき、今後年金として支払を受ける権利に代えて一時金として受け取ることを選択した場合にあっては、前述した老後の生活の糧とするために分割して受け取るという当事者の意思及び分割して支払われる支払実態など、年金として課税すべき考慮要素が消滅するから、当該一時金の本来の性質に基づき、退職所得として課税することが相当であると解される。
 したがって、所得税法第31条第2号に規定する「加入員の退職に基因して支払われるもの」とは、退職金としての性質を有する一時金が退職時に支払われた場合のみならず、この一時金の一部を年金として厚生年金基金から支払を受けていた年金受給者が、自らの意思により、今後年金として支払を受ける権利に代えて一時金として受け取った場合も含まれると解するのが相当である。
 本件の事実関係によれば、本件一時金は、A厚生年金基金規約に基づいてA厚生年金基金から支給される加算年金に対応する終身までの年金給付の総額に代えて支払われたものであり、また、加算年金の掛金は事業主が負担したものであり、さらに、本件一時金は、勤務先を退職し、加算年金の給付を受けている者しか受け取ることができず、請求人が自らの選択により一時金として受け取ったものと認められることからすれば、本件一時金は、所得税法第31条第2号に規定する退職手当等とみなすものとして、退職所得であると認めるのが相当である。
 そして、本件一時金は、請求人が平成7年にB社(現A社)を退職したことに伴い受け取った退職一時金と同一の勤務先における過去の勤務に基づいて支給されたものであり、一の支払者から二以上の退職手当等の支払を受けるのと同様の事情があると認められるから、同法施行令第77条の規定により、請求人の退職日の属する年分である平成7年分の退職所得と認めるのが相当である。

国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
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