請求人以外の共同相続人が行った相続財産の隠ぺい行為に基づく相続税の過少申告について、請求人に重加算税を賦課決定することができると判断した事例
[国税通則法][附帯税][重加算税][隠ぺい、仮装の認定]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
2004/03/11 [国税通則法][附帯税][重加算税][隠ぺい、仮装の認定] 納税者が、第三者に申告手続を委任した場合、第三者が同委任に基づいて行った行為の効果は納税者に帰属するものであり、自己責任の原則からしても、第三者を利用することによって得られる利益とともに、それによる不利益も当然納税者が享受すべきであり、また、その第三者の行為の結果、不正な申告が行われた場合に申告納税制度の適正な確保を困難ならしめる可能性があることからすると、納税者から委任を受けて第三者が不正な申告を行った場合には、納税者本人がその不正な申告について具体的な認識を欠いていたとしても、納税者が行った行為と同一視し、その責任を負うと解するのが相当である。
請求人らは本件相続に係る相続財産の調査及び本件相続税の申告手続を共同相続人であるFに委任したと認められることから、同委任を受けたFの相続財産の隠ぺい行為に基づく過少申告の結果は請求人らに帰し、また、Fの当該隠ぺい行為は請求人らの行為と同一視され、本件申告に係る過少申告の責任は請求人らも負うべきであることから、請求人らに国税通則法第68条第1項の規定に基づき重加算税を賦課することは相当であると認められる。
平成16年3月11日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 請求人以外の共同相続人が行った相続財産の隠ぺい行為に基づく相続税の過少申告について、請求人に重加算税を賦課決定することができると判断した事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(国税通則法>附帯税>重加算税>隠ぺい、仮装の認定)
- 支払手数料及びロイヤリティについて、その支払義務がないにもかかわらず支払の事実を仮装したものとして重加算税を賦課した原処分は相当であるとした事例
- 役務の提供等の完了前に請求書の発行を受ける等、通常と異なる処理を行った行為は、事実を仮装したものと認めた事例(平23.2.1〜平24.1.31の事業年度の法人税に係る重加算税の賦課決定処分、平23.2.1〜平24.1.31の課税期間の消費税及び地方消費税に係る重加算税の賦課決定処分・棄却、一部取消し・平成26年10月28日裁決)
- 相続財産である家族名義預金を申告せず、税務調査においても根拠のない答弁を行った納税者について、国税通則法第68条に規定する重加算税の賦課要件を満たすとした事例(平成23年8月相続開始に係る相続税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分・一部取消し、棄却・平成27年10月2日裁決)
- 居住の用に供していない譲渡物件の所在地に住民登録をしていた者が、納税相談時に担当職員に虚偽の申立てをする等し、申告書を作成させ提出したことは、隠ぺい又は仮装の行為に該当するとした事例
- 売上除外等の不正行為は従業員が行ったものであり、請求人がその不正行為を知ったのは原処分調査時であるから、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に該当しないとの主張を排斥した事例
- 棚卸資産の計上漏れは過失に基づくものであり、かつ、翌朝の売上げに計上されているから、事実の隠ぺい又は仮装に当たらないとした事例
- 出張日の記載のない請求書に基づいて計上した旅行費用について、事実の仮装は認められないとした事例
- 直近5年分の売上除外割合等に基づき推計の方法で算定された各年分の売上除外額について、隠ぺいの事実を認め、重加算税賦課決定処分を適法とした事例
- 会社の休業中における土地譲渡収入を代表者個人名義預金に入金したことが事実の隠ぺいに当たらないとした事例
- 妻子と同居していた家屋とは別に、1年余の期間断続的に居住し、通勤に利用していた家屋を居住用財産であるとしたことについて、事実の隠ぺい又は仮装は認められないとした事例
- 請求人の代表取締役として実質的に経営の主宰者と認められる者の行った売上金額の除外、個人名義預金等への留保は、請求人の隠ぺい又は仮装行為と同視すべきであるとした事例
- 請求人が経営するパチンコ店のフロアー責任者及び経理責任者として実質的に経営に参画していた従業員が行った売上除外による隠ぺい行為について、それが横領目的であったとしても請求人の行為と同視すべきであるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
- 取引及び登記等に事実の隠ぺい又は仮装が認められず、調査時にも事実の把握を困難にさせるような特段の行為が認められないなどとして、重加算税の賦課要件は満たしていないとした事例
- 隠ぺい行為と評価できる状況を是正する措置が採られた前後の期間があるにもかかわらず、是正する措置を採らなかった期間分について、隠ぺい行為と評価できる事実に基づき申告書を提出した場合に、重加算税の賦課要件を満たすとした事例
- 納税者と関与税理士との間において、課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし又は仮装することについての意思の連絡があったものと認められるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
- 請求人が、法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第68条第2項の重加算税の賦課要件を満たしているとはいえないとした事例(平成23年4月相続開始に係る相続税の重加算税の賦課決定処分・一部取消し・平成26年4月17日裁決)
- 請求人の申告行為に重要な関係のある相当な権限を有する地位に就いている従業員の行った売上除外について、請求人の行為と同一視すべきであるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した事例
- 公表の預金口座とは別に請求人名義の預金口座を開設して公表外で管理し、そこに売上金の一部を入金していたことなどから隠ぺい行為を認定した事例
- 税理士の使用人によって仮装隠ぺいに基づく納税申告書が提出されたものであり、請求人には事実の隠ぺい又は仮装の意思はなかったとの主張を排斥した事例
- 工事代金の一部を本件事業年度の売上げに計上しないで、売掛金の過入金として処理したことが、重加算税を課すべき事実に該当しないと判断した事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。