信書便事業者に該当しない宅配便事業者を利用して法定申告期限の翌日に提出された納税申告書は期限内申告書には当たらないとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2005/01/28 [国税通則法][附帯税][無申告加算税] 請求人は、原処分が違法である理由として、[1]本件各申告書をその法定申告期限内にA社に引き渡しているのであるから、本件各申告書は期限内申告書であること、[2]国税通則法第66条の規定の趣旨は、納税者に正しい税額の計算と期限内納税を行わせるためのものであるところ、請求人は本件各申告書に記載した納付すべき税額を法定期限内に完納していること、しかも、同条の規定自体が、納税額がある者だけに課されるなど不合理なものであり法改正されてしかるべきであること、を主張する。
しかしながら、納税者から納税申告書が提出された場合、いつの時点をもって提出日とするかについては、原則として申告書が税務官庁に到達した日(到達主義)と解されており、また、この到達主義の例外として、国税通則法第22条は、納税申告書が郵便又は信書便により提出された場合には、その通信日付印により表示された日に提出されたとみなす旨規定しているところ、本件各申告書の提出日については法定申告期限の翌日に原処分庁に到達していることが認められ、また、A社は信書便事業者ではないので信書便により提出された場合に該当しないことから、本件各申告書を法定申告期限内に提出したとする請求人の主張には理由がない。
次に、無申告加算税の規定は、納税申告書の提出が期限内にされなかった場合の行政上の制裁として設けられたものであるから、納税申告書に記載された納付すべき税額が法定納期限内に完納されたか否かということで、その適用が左右されるものではなく、この点に関する請求人の主張は採用できない。
なお、国税通則法第66条の規定は合理性がないもので法改正されてしかるべきものである旨の主張については、当審判所の権限外のことであり審理の限りでない。
平成17年1月28日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 信書便事業者に該当しない宅配便事業者を利用して法定申告期限の翌日に提出された納税申告書は期限内申告書には当たらないとした事例
関連するカテゴリ
関連する裁決事例(国税通則法>附帯税>無申告加算税)
- 信書便事業者に該当しない宅配便事業者を利用して法定申告期限の翌日に提出された納税申告書は期限内申告書には当たらないとした事例
- 年の中途で死亡した被相続人の所得税の確定申告書を、相続人がその法定申告期限までに提出しなかったことについて、国税通則法第66条第1項に規定する「正当な理由」があるとは認められないとした事例
- 消費税等の確定申告書を法定申告期限までに提出しなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書にいう「正当な理由」があるとは認められないとした事例
- 原処分庁が法定申告期限内に地価税の申告書が提出されていないことを内部資料によって確認した上、請求人の関与税理士事務所員に対し電話で問い合わせた直後に地価税申告書が提出された場合は、国税通則法第66条第3項にいう「調査があったことにより決定があるべきことを予知してされたものではないとき」に該当せず、同条第1項に規定する「納付すべき税額」とは法定申告期限後に提出された申告書に記載された納付すべき税額を指し、税の納付とは直接関係がなく、無申告加算税の基礎となる税額の計算において法定申告期限内に納付された税額を控除すべきではないとした事例
- 過去5年以内に国税通則法第66条第6項の適用を受けていることを知らなかったとしても、同項に規定する「期限内申告書を提出する意思があつたと認められる場合」には該当しないとした事例
- 被相続人の共同相続人の1人に対する「相続させる旨」の遺言には、同人に、請求人に対し5,000万円の代償金の支払債務を負担させる旨の記載があり、請求人は、当該遺言によって代償金の支払請求権を相続により取得したものと認められるから、期限後申告書に記載された課税価格のうち当該部分については、期限内申告書の提出がなかったことについて正当な理由があるとは認められないとした事例
- 消費税等の税額が法定申告期限内に納付され、これに係る確定申告書が法定申告期限後に提出された場合の無申告加算税の賦課決定処分は適法であるとした事例
- 期限内申告書の提出がなかったことについて国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとした事例
- ゆうメールによる納税申告書の提出に国税通則法第22条の適用はないとした事例
- 相続税の期限内申告書の提出がなされなかったことについて国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由がないとした事例
- 期限後申告書の提出は決定があることを予知してなされたものではないとした事例
- 請求人は、法定申告期限内に相続財産の把握に努めていれば、その全容を把握できたと認められるところ、そのために必要な調査を尽くしていないから、相続財産の額が基礎控除額を上回ると認識していなかったことについて「正当な理由があると認められる場合」に該当しないとして、無申告加算税の賦課決定処分が適法であるとした事例
- 法人税の申告期限延長の特例適用を受けていることをもって、消費税の期限後申告について、正当な理由があるとはいえないとした事例
- 被相続人の死亡を保険事故とする生命保険金の支払が確定していなかったため相続税の期限内申告書を提出しなかったことについて「正当な理由」があるとはいえないとした事例
- 期限内申告書の提出がなかったことについて、申告書を提出できないほどの病状等にあったとは認められず、国税通則法第66条第1項に規定する「正当な理由があると認められる場合」には該当しないと判断した事例
- 消費税等の確定申告書を期限内に提出しなかったことについて正当な理由はないとした事例
- 無申告加算税の賦課決定に当たって国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由の存否の調査は要しないとした事例
- 相続税の期限内申告書の提出がなされなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」がないとした事例
- 一人の扶養親族につき、重複して扶養控除を受けている事実を知ることができなかったとしても、それは請求人の単なる主観的な事情であるから、国税通則法第66条第1項の正当な理由があると認められる場合に当たらないとした事例
- 納税申告書をその法定申告期限に郵便ポストに投函して郵送したが、郵便の取り集め時間後であったため納税申告書の通信日付が翌日となり、期限後申告となった場合は、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」がないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。