相続税対策スキームの一環として行った出資の売買は、課税庁からその売買価額が著しく低額と認定され買主に対し贈与税の課税処分がされたことから、相続税対策として意味をなさないものとなるので錯誤により無効となるとの請求人の主張を排斥した事例
[相続税法][贈与税の課税財産の範囲][贈与事実の認定]に関する裁決事例(国税不服審判所)。
裁決事例(国税不服審判所)
1998/09/28 [相続税法][贈与税の課税財産の範囲][贈与事実の認定] 請求人は、本件決定処分の基となった出資の売買契約は、税理士等の勧める相続税対策スキームの一環として行われたものであるところ、買主に対して贈与税の課税処分がなされたことにより、本件スキームは相続税対策としては意味をなさないものとなるから、本件スキームに基づいて行われたすべての行為は錯誤により無効となるので本件贈与税の課税処分を取り消すべきである旨主張する。
しかしながら、請求人は、[1]本件出資を取得する目的で売買契約に係る売買代金を銀行から借り入れたこと、[2]その借入金を基に売買代金を支払って本件出資を取得したこと、[3]原処分庁に対して本件出資の売買等の認識がある旨申述していることからすると、本件売買契約によって生じた経済的成果を享受していることは明らかであるから、本件売買契約に基づいて課税することは当然である。また、仮に、本件売買契約が厳密な法令適用の面からは無効とみられるような場合であっても、本件決定処分がなされた時点において本件売買契約に基づく経済的成果が発生し、かつ、存続している以上、本件売買契約を基因としてされた本件決定処分を違法ということはできない。
そうすると、本件売買契約の無効を理由に本件決定処分の取消しを求める請求人の主張には理由がない。
平成10年9月28日裁決
- 国税不服審判所:公表裁決事例集:公表裁決事例要旨
- 相続税対策スキームの一環として行った出資の売買は、課税庁からその売買価額が著しく低額と認定され買主に対し贈与税の課税処分がされたことから、相続税対策として意味をなさないものとなるので錯誤により無効となるとの請求人の主張を排斥した事例
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