〔繰延資産の償却費の計算(令第137条関係)〕|所得税法
基本通達(国税庁)
(効果の及ぶ期間の測定)
50−1 令第137条第1項第2号に規定する「繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間」(以下50−4までにおいて「償却期間」という。)は、50−4までに定めるもののほか、固定資産を利用するために支出した繰延資産については当該固定資産の耐用年数を、一定の契約をするに当たり支出した繰延資産についてはその契約期間をそれぞれ基礎として適正に見積もった期間による。
(繰延資産の償却期間の改訂)
50−2 固定資産を利用するために支出した繰延資産で当該固定資産の耐用年数を基礎として償却期間を算定しているものにつき、その後当該固定資産の耐用年数が改正された場合には、その改正された年以後の当該繰延資産の償却期間は、改正後の耐用年数を基礎として算定した期間による。
(繰延資産の償却期間)
50−3 令第7条第1項第3号《公共的施設の負担金等の繰延資産》に掲げる繰延資産のうち表3に掲げるものの償却期間は、それぞれ同表に掲げる年数による。(昭46直審(所)19、昭49直所2−23、昭55直所3−19、直法6−8、平12課所4−30、平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26改正)
〔表3〕
該当条項 | 種類 | 細目 | 償却期間 | |||||
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令第七条第一項第三号イ《公共的施設等の負担金》に掲げる費用 | 公共的施設の設置又は改良のために支出する費用(2−24参照) |
| その施設又は工作物の耐用年数の70%に相当する年数 | |||||
| その施設又は工作物の耐用年数の40%に相当する年数 | |||||||
共同的施設の設置又は改良のために支出する費用(2−25参照) |
|
| ||||||
| 5年(その施設について定められている耐用年数が5年より短い場合には、その耐用年数) | |||||||
令第七条第一項第三号ロ《資産を賃借するための権利金等》に掲げる費用 | 建物を賃借するために支出する権利金等(2−27の(1)参照) |
| その建物の耐用年数の70%に相当する年数 | |||||
| その建物の賃借後の見積残存耐用年数の70%に相当する年数 | |||||||
| 5年(契約の賃借期間が5年未満であり、かつ、契約の更新をする場合に再び権利金等の支払を要することが明らかであるものについては、当該賃借期間の年数) | |||||||
電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用(2−27の(2)参照) |
| その機器の耐用年数の70%に相当する年数(その年数が契約による賃借期間を超えるときは、当該賃借期間の年数) | ||||||
令第七条第一項第三号ハ《役務の提供を受けるための権利金等》に掲げる費用 | ノーハウの頭金等(2−28参照) |
| 5年(設定契約の有効期間が5年未満である場合において、契約の更新に際して再び一時金又は頭金の支払を要することが明らかであるときは、当該有効期間の年数) | |||||
令第七条第一項第三号ニ《広告宣伝用資産を贈与した費用》に掲げる費用 | 広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用(2−29参照) |
| その資産の耐用年数の70%に相当する年数(その年数が5年を超えるときは、5年) | |||||
令第七条第一項第三号ホ《その他自己が便益を受けるための費用》に掲げる費用 | スキー場のゲレンデ整備費用(2−29の2参照) |
| 12年 | |||||
出版権の設定の対価(2−29の3参照) |
| 設定契約に定める存続期間(設定契約に存続期間の定めがない場合には、3年) | ||||||
同業者団体等の加入金(2−29の4参照) |
| 5年 | ||||||
職業運動選手等の契約金等(2−29の5参照) |
| 契約期間(契約期間の定めがない場合には、3年) |
(注)
1 道路用地をそのまま又は道路として舗装の上、国又は地方公共団体に提供した場合において、その提供した土地の帳簿価額に相当する金額(舗装費を含む。)が繰延資産となる公共施設の設置又は改良のために支出する費用に該当するときは、その償却期間の計算の基礎となる「その施設又は工作物の耐用年数」は15年として、この表を適用する。
2 償却期間に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。
(港湾しゅんせつ負担金等の償却期間の特例)
50−4 公共的施設の設置又は改良のために支出する費用のうち企業合理化促進法第8条《産業関連施設の整備》の規定に基づき負担する港湾しゅんせつに伴う受益者負担金及び共同的施設の設置又は改良のために支出する費用のうち負担者又は構成員の属する協会等の本来の用に供される会館等の建設又は改良のために負担するものについては、50−3に定める償却期間が10年を超える場合には、当分の間、50−3にかかわらず、その償却期間を10年とするものとする。
(公共下水道に係る受益者負担金の償却期間の特例)
50−4の2 地方公共団体が都市計画事業その他これに準ずる事業として公共下水道を設置する場合において、その設置により著しく利益を受ける土地所有者が都市計画法その他の法令の規定に基づき負担する受益者負担金については、50−3にかかわらずその償却期間を6年とする。(昭51直所3−1、直法6−1、直資3−1追加)
(注) 下水道法第19条《工事負担金》の規定により負担する負担金の取扱いは、2−21《公共下水道施設の使用のための負担金》によることに留意する。
(分割払の繰延資産)
50−5 令第7条第1項第3号に掲げる繰延資産となるべき費用の額を分割して支払うこととしている場合には、たとえその総額が確定しているときであっても、その総額を未払金に計上して償却することはできないものとする。ただし、その分割して支払う期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、この限りでない。(昭51直所3−35、昭55直所3−19、直法6−8、平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26改正)
(長期分割払の負担金の必要経費算入)
50−5の2 公共的施設又は共同的施設の設置又は改良に係る負担金で繰延資産となるべきものを支出した場合において、当該負担金が次のいずれにも該当するものであるときは、その負担金として支出した金額は、その支出をした日の属する年分の必要経費に算入することができるものとする。(昭54直所3−2追加、昭55直所3−19、直法6−8改正)
(1) その負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間に相当する期間以上の期間にわたり分割して徴収されるものであること。
(2) その分割して徴収される負担金の額がおおむね均等額であること。
(3) その負担金の徴収がおおむねその支出に係る施設の工事の着工後に開始されること。
(固定資産を利用するための繰延資産の償却の開始の時期)
50−6 繰延資産となるべき費用を支出した場合において、当該費用が固定資産を利用するためのものであり、かつ、当該固定資産の建設等に着手されていないときは、その固定資産の建設等に着手した時から償却する。
〔少額の繰延資産(令第139条の2関係)〕(少額の繰延資産であるかどうかの判定)
50−7 令第139条の2の規定を適用する場合において、支出する金額が20万円未満であるかどうかは、令第7条第1項第3号イに掲げる費用については一の設置計画又は改良計画につき支出する金額(2回以上に分割して支出する場合には、その支出する時において見積もられる支出金額の合計額)、同号ロ及びハに掲げる費用については契約ごとに支出する金額、同号ニに掲げる費用についてはその支出の対象となる資産の1個又は1組ごとに支出する金額により判定する。(平11課所4−1、平19課個2−11、課資3−1、課法9−5、課審4−26改正)
出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/01.htm
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