国家公務員の殉職によりその遺族に授与された賞じゅつ金の課税関係|相続税・贈与税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
国家公務員が公務中に死亡し、大臣からその遺族に対して、賞じゅつ金に関する訓令(以下「訓令」といいます。)に基づき賞じゅつ金が授与された場合の課税上の取扱いはどのようになるでしょうか。なお、訓令では、賞じゅつ金が授与される遺族の範囲及び順位等は、国家公務員災害補償法第17条の5第1項及び第2項並びに第17条の6第2項の規定によるとされており、例えば、相続人に該当しない内縁の配偶者もその対象とされているなど、民法に規定する相続人の範囲及び相続人の順位決定の原則とは異なる定め方をしています。
また、退職手当金は別途支給されます。
○ 賞じゅつ金の概要
1 趣旨
賞じゅつ金は、職員のうち、職員の他の一般の職務と比較して、高度な危険が予測され、災害を受ける蓋然性が高い職務に従事する職員が、一身の危険を顧みることなくその職務を遂行し、又はこれらの職務に特有の事故により死亡し又は障害の状態となった場合に、その勇敢な行為を称え、弔慰又は見舞いの意を表するとともに、職員が平素から国のために安じてその職務の遂行に専念し得るようにとの観点から授与されています。
2 授与要件
- (1) 一定の場合において、一身の危険を顧みることなく職務を遂行し、そのため死亡し、又は障害の状態となったとき。
- (2) 一定の場合において、その職務に特有な事故により死亡し、又は障害の状態となったとき。
3 授与額
功労又は状況の区分に応じて死亡時又は障害時に一時金として一定の金額を授与。
【回答要旨】
相続税・所得税とも課税対象とはされません。
(理由)
賞じゅつ金に係る課税関係については、次のとおりとなります。
1 相続税の取扱いについて
照会の賞じゅつ金が相続税の課税対象とされるのは、本来の相続財産に該当する場合、又は相続税法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等の同条に規定するみなし相続財産に該当する場合に限られますが、次のとおりいずれにも該当しないものと解されます。
- 本来の相続財産
- 訓令では、賞じゅつ金が授与される遺族の範囲及び順位等について、民法に規定する相続人の範囲及び相続人の順位決定の原則とは異なる定め方をしています。
したがって、照会の賞じゅつ金は、遺族が相続により取得した権利により取得するものではなく、被相続人の死亡に基因して遺族が原始的に取得した権利により取得するものであるため、本来の相続財産に該当しません。 - みなし相続財産
- 相続税法第3条第1項第2号に規定する「退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与」とは、支給する者と被相続人との間に「雇用関係が存在」し、この雇用関係に基づき被相続人が生存して退職した場合に支給を受けるべき役務の対価たる給与をいいます。
照会の賞じゅつ金は、雇用主である大臣から授与されるものではありますが、生存中の役務の対価として授与されるものではなく、訓令に基づき、職員の公務中の事故による死亡という偶然の事実に基因して、遺族に対して弔慰又は見舞いの意を表するとともに、その遺族の生活の安定を図る等の目的で授与されるもので、弔慰金等に準ずるものであり、相続税法基本通達3−23(13)に該当することとなりますので、みなし相続財産とされる退職手当金等には該当しません。
また、照会の賞じゅつ金は、一時金として授与されるものであり定期金ではないため、相続税法第3条第1項第6号に規定するみなし相続財産にも該当しません。
2 所得税の取扱いについて
照会の賞じゅつ金については、訓令に基づき授与されるものであり、その内容から判断して、所得税法施行令第30条第3号に規定する「心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金」又は同条本文に規定する「その他これらに類するもの」に該当し、所得税は非課税として取り扱われます。
【関係法令通達】
相続税法第3条第1項第2号、第6号
所得税法施行令第30条第3号
相続税法基本通達3−23(13)
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/02/10.htm
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