役員に付与されたストックオプションを相続人が権利行使した場合の所得区分(6か月以内に一括して行使することが条件とされている場合)|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A社では、在任中の取締役等に対して、権利行使価額を1株当たり1円とする新株予約権(以下「本件新株予約権」といいます。)を付与しています。この新株予約権は、A社の取締役等の地位を喪失した日の翌日から10日間以内に本件新株予約権の全部を一括して権利行使しなければならず、また、被付与者が死亡した場合には、相続人の1人が本件新株予約権の全部を承継することとし、承継した者は本件新株予約権の承継についてA社が認めた日から6か月間に限り一括して権利行使することができることとされています。
相続により承継した新株予約権については、相続財産として相続税の対象となりますが、相続人がその権利を行使した場合の権利行使益に係る所得は、いずれの所得に区分されますか。
【回答要旨】
一時所得に該当します。
取締役等に対してインセンティブ報酬として付与されたストックオプションの相続人が権利行使した場合の権利行使益は、業務に関するものではなく、また、雇用契約等に基づく従属的労務の対価でもないことから、事業所得、給与所得又は退職所得には該当しません。
ストックオプションに係る権利を相続により取得した相続人が、その取得後長期間にわたってその権利を行使することができ、権利行使回数にも制限がないような場合には、相続人が株価の動向等をみて権利行使するか否かを判断し、その所得の実現も複数回となり得ることから、一時の所得とは認められませんが、照会の場合には、被付与者の権利が相続により相続人に承継されるものであり、相続人は、発行会社が承継を認めた日から6か月以内に権利の全部を一括して権利行使することとされていますので、一時の所得と認められます。
また、相続人において生ずる権利行使益は発行法人から相続人に与えられた給付と解されるところ、相続人は発行会社に対して何ら役務の提供を行っていないことから、その権利行使益は、労務その他の役務の対価としての性質は有しておらず、また、このような権利行使益は、債権的権利の行使による給付ですが、その権利行使と給付は、権利の移転又は消滅の対価として与えられるという関係にはなく、権利の行使をもって資産の譲渡の対価たる性質を有しているということはできません。
以上のことから、本件新株予約権の相続人による権利行使益は、対価性のない一時の所得と認められ、一時所得に該当します。
【関係法令通達】
所得税法第34条
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/32.htm
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