所得税更正処分取消請求控訴事件(原審・福岡地方裁判所平成20年(行ウ)第58号)|平成22(行コ)12
[所得税法][一時所得]に関する行政事件裁判例(裁判所)。
行政事件裁判例(裁判所)
平成22年12月21日 [所得税法][一時所得]判示事項
養老保険契約に基づいて受領した満期保険金の額から自己が負担した保険料及び自己の経営する法人が負担した保険料の合計額を控除した額を一時所得として所得税の確定申告をした者に対し,前記法人が負担した保険料の額は所得税法34条2項にいう「収入を得るために支出した金額」に当たらないから一時所得の金額の計算上控除することはできないとしてされた更正処分が,適法とされた事例裁判要旨
養老保険契約に基づいて受領した満期保険金の額から自己が負担した保険料及び自己の経営する法人が負担した保険料の合計額を控除した額を一時所得として所得税の確定申告をした者に対し,前記法人が負担した保険料の額は所得税法34条2項にいう「収入を得るために支出した金額」に当たらないから一時所得の金額の計算上控除することはできないとしてされた更正処分につき,所得税は基本的に個人の所得に対する租税であり,所得は一般に人の担税力を増加させる経済的利得であって,担税力が個人単位で把握される以上,所得並びにその基礎となる収入及び支出も個人単位で把握されるべきであるから,同項にいう「その収入を得るために支出した金額」は,特段の理由がない限り,一時所得の所得者本人が負担した金額に限られ,それ以外の者が負担した金額は含まれないとした上,一般に,養老保険は,満期保険金の支払財源に充てるための積立保険料(積立分)と,被保険者が死亡した場合の死亡保険金の支払に充てるための危険保険料(危険分)からなるが,当該養老保険契約のように,死亡保険金の受取人が法人で満期保険金の受取人が個人である場合には,法人にとって,危険分は,定期保険における掛捨ての保険料と同様の性質を有するものといえるところ,前記法人において,同保険契約に係る支払保険料の2分の1については保険料として損金処理し,残りの2分の1については役員報酬として経理処理していることからすれば,前記法人は,前記法人が負担した部分(前記損金処理部分)については,危険分であって,満期保険金の原資である積立分ではないと認識,判断して,その旨の経理処理をしたものであるから,前記法人が負担した保険料の額は,同項にいう「収入を得るために支出した金額」に当たらないとして,前記更正処分を適法とした事例- 裁判所名
- 福岡高等裁判所
- 事件番号
- 平成22(行コ)12
- 事件名
- 所得税更正処分取消請求控訴事件(原審・福岡地方裁判所平成20年(行ウ)第58号)
- 裁判年月日
- 平成22年12月21日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分取消請求控訴事件(原審・福岡地方裁判所平成20年(行ウ)第58号)|平成22(行コ)12
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