役員報酬(定期同額給与)で節税
給与所得控除を活用して役員報酬(定期同額給与)で節税する。社会保険の負担増や、法人税と所得税の実効税率の差に注意が必要。

法人税更正処分等取消請求事件|平成8(行ウ)20

[法人税法]に関する行政事件裁判例(裁判所)。

行政事件裁判例(裁判所)

平成11年12月10日 [法人税法]

判示事項

1 法人税法36条及び同法施行令72条の憲法84条適合性 2 食料品製造業等を営む会社が,退職した代表取締役に支給した退職金の全額を損金に算入してした法人税の申告に対し,税務署長が,退職役員の功績倍率を基礎として適正な退職金額を算出するといういわゆる平均功績倍率法を用いて,前記代表取締役に対する退職金のうち相当額を超える部分を損金に算入しないこととしてした更正が,適法とされた事例

裁判要旨

1 法人税法36条の趣旨は,法人の役員に対する退職給与が,損金として認めるには不相当に高額で実質的には法人の利益処分たる性質を有していると解すべき場合も想定されることから,このような場合には,その不合理な部分について損金算入を認めないことによって,法人が租税負担を不当に回避することを防止し,適正な課税を確保しようとするものであると解され,また,同法施行令72条は,前記36条の規定を受けて,退職給与の額の相当性についての判断基準を定めたものであるが,退職給与の額はその法人及び退職役員の個別的事情によって異なり得るものであるから,あらゆる場合を想定して相当な退職給与の額を明確かつ一義的に定めることは困難であるところ,同条は,相当な退職給与の額を決定するに当たって考慮すべき事情を類型的に列挙しており,それらの事情を総合すれば相当な退職給与の額を判断することができるものと解され,このような観点からすると,同条の規定は,退職給与の額の相当性の判断基準について,一般的に是認できる程度に具体的,客観的に定めているということができ,結局,前記両条は,租税法律主義に反するものではなく,憲法84条に違反しない。 2 食料品製造業等を営む会社が,退職した代表取締役に支給した退職金の全額を損金に算入してした法人税の申告に対し,税務署長が,退職役員の功績倍率を基礎として適正な退職金額を算出するといういわゆる平均功績倍率法を用いて,前記代表取締役に対する退職金のうち相当額を超える部分を損金に算入しないこととしてした更正につき,前記平均功績倍率法は,退職役員の法人に対する功績はその退職時の報酬に反映されていると考え,当該法人と同種類似の法人の役員に対する退職給与の支給の状況を平均功績倍率として把握し,その平均功績倍率に当該退職役員の最終報酬月額及び勤続年数を乗じて退職給与の適正額を算定する方法であり,適正に算出された平均功績倍率を用いる限り,その判断方法は客観的かつ合理的であり,法人税法施行令72条の趣旨に最もよく合致する方法というべきであるとした上,前記更正の際に平均功績倍率を算出するために比較法人として抽出された法人は,いずれも前記会社と比してその事業規模が著しく小さく,同社と類似しているということはできないから,比較法人としての適格がなく,したがって,これらの比較法人によっては前記代表取締役に対する退職給与の適正額を算定できなかったというべきであるが,訴訟提起後に比較法人として抽出された7法人のうちの3法人は,前記会社と事業規模が類似しており,比較法人としての適格を有しているところ,その3法人における功績倍率を基礎として算出した平均功績倍率に照らして判断すると,前記更正はその平均功績倍率によって算定された金額の範囲内で行われたものというべきであるとして,前記更正を適法とした事例
裁判所名
札幌地方裁判所
事件番号
平成8(行ウ)20
事件名
法人税更正処分等取消請求事件
裁判年月日
平成11年12月10日
分野
行政
全文
全文(PDF)
裁判所:行政事件裁判例
法人税更正処分等取消請求事件|平成8(行ウ)20

関連するカテゴリー

関連する裁決事例(法人税法)

  1. 破産法人の清算中の事業年度の予納申告の課税の計算において、利子に対する源泉所得税の額を更正処分に係る法人税の額から控除することは、破産法第104条に規定する相殺には該当せず適法であるとした事例
  2. 社内的な帳簿締切日の定めにかかわらず定款所定の事業年度によって売上収益を計上すべきであるとした事例
  3. 市下水道工事による工場の操業能率低下に伴い取得した仮工場の取得価額のうち機能回復補償金相当額までの金額は修繕費等として損金算入することができるとした事例
  4. 請求人の子会社には、法人税法施行令第68条《資産の評価損の計上ができる事実》第1項第2号ハに規定する「ロに準ずる特別の事実」が生じているとは認められないとした事例(平23.4.1〜平24.3.31の事業年度の法人税の再更正処分、平24.4.1〜平25.3.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、平24.4.1〜平25.3.31の課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成27年5月20日裁決)
  5. 法人名義の船舶の譲渡による所得はその現物出資者となっている個人に帰属するとした事例
  6. 請求人が子会社から受けた利益剰余金を配当原資とする剰余金の配当及び資本剰余金を配当原資とする剰余金の配当は、その全額が資本の払戻しによるものに該当するとした事例
  7. 有価証券の売買契約において、条件付で売買価額を決定し、条件不成就ならば代金の一部を返還することとしている場合、条件不成就により返還された金員は、譲受人に発生した損害の補てん金ではなく、売買代金の返還であるとした事例
  8. 山砂売買契約に基づきその事業年度中の山砂採取量に対応する採取跡地の埋戻し費用を原価としてその事業年度の損金に算入することとした事例
  9. 建物の敷金の返還不要部分の益金算入の時期は賃貸借契約を締結した時であるとした事例
  10. 仕切売買の方法によってなされた不動産売買に関して支払われた企画料名目の金員は、譲渡委任に基づく報酬と認められるから、請求人の所得金額の計算上、損金の額に算入されるべきものであるとした事例
  11. 銀行業における貸付資金の調達原価の額について、ある取入店の原価の額をロイターレートにより算定した場合、その超過額を他の取入店の不足額と相互に通算することはできないとした事例
  12. 株式方式によるゴルフ会員権が取引市場において下落した場合であっても、発行法人の資産状態が著しく悪化したものではないとして損金算入を認めなかった事例
  13. 純資産価額が零円を下回る場合の株式の価額を零円以上とした事例
  14. 電気使用料の計量誤りにより過大に支払った電力使用料等の返還金は、その返還を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入することが相当であるとした事例
  15. 協同組合の専務理事に支給した賞与は役員賞与に該当するとした事例
  16. 請求人が本件退職金を支出したのは、新出資者が支払うべき本件出資持分の譲受代金の一部を負担した行為に当たるから、本件退職金は新出資者に対する寄付金と認めるのが相当であるとした事例
  17. 業務に関連する資格取得のために専門学校に入学した従業員に対して、請求人が奨学金として負担した金員は貸付金と認められるから、当該奨学金は損金の額に算入されないとした事例
  18. 和解金の支払が剰余金の分配と認められ資本等取引に該当するとして損金の額に算入できないとした事例
  19. 請求人がその子会社の債務超過などを理由として売掛金及び貸付金を放棄したことは、いずれも子会社に対する経済的な利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例
  20. 1. 期末にたな卸しすべき株式の評価に当たり、信用取引の決済に充てられるべき株式の買付けについては、期中の他の株式の取得に関係させることなく、個別に当該買付け株式の取得に要した金額により評価すべきものとした事例2. 債券先物取引につき、相反する同数量、同金額の売建て玉と買建て玉とが設定されている場合に、一方の建て玉を手仕舞いしたとしても、再び同方向の建て玉が同数量設定されているときは、損益の認識は、1組の売建て玉と買建て玉とが共々手仕舞いされたときに行うべきものとした事例

※最大20件まで表示

税法別に税務訴訟事例を調べる

当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。


戦略的に節税するための無料ツール

一括節税計算機
※所得を入力して、税目別に税額を一括比較する
所 得万円 *必須
減少額万円 *任意  設定  消去
[対応税目]*法人税*所得税*消費税*相続税*贈与税*利子所得*配当所得*給与所得*退職所得*譲渡所得(土地)*譲渡所得(株式)*譲渡所得(総合)*一時所得*雑所得(年金)*雑所得(FX等)

*ご利用にあたっては利用規約を必ずご確認ください

このページを他の人に教える


ご意見ご要望をお聞かせ下さい

 過去のご意見ご要望については、ご意見ご要望&回答一覧で確認できます。

利用規約をお読み下さい

 本サイトのご利用にあたっては利用規約を必ずお読み下さい。

広告を募集しています

 本サイトでは掲載していただける広告を募集しております。詳しくは広告掲載をご覧ください。
新着情報 RSS
01/29 生命保険で節税
02/08 所得税の延納(利子税)で節税
09/26 経営セーフティ共済で節税
02/22 役員報酬(事前確定届出給与)で節税
02/19 不動産(再建築費評点基準表)で節税
新着情報を見る
節税対策ブログ
02/13 所得税確定申告で誤りの多い12項目(2019年度版)
01/29 死亡退職金の受取人(役員退職慰労金規程と相続税)
02/22 所得税確定申告で誤りの多い事例とは
02/02 クレジットカードポイント等の税務処理
02/01 ふるさと納税特産品と株主優待の税務処理
節税対策ブログを見る
アクセス数
今日:123
昨日:351
ページビュー
今日:183
昨日:4,452

ページの先頭へ移動