所得税更正処分等取消請求事件,更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求事件|平成13(行ウ)54等
行政事件裁判例(裁判所)
平成16年1月21日 [所得税法][給与所得][譲渡所得][一時所得][国税通則法][過少申告加算税]判示事項
1 米国法人の子会社である日本法人の従業員ないし取締役が,親会社である同米国法人から,同社の株式を一定の期間内にあらかじめ定められた権利行使価格で取得することができる権利であるいわゆるストックオプションを付与され,その権利を行使して得た利益が,給与所得に当たるとされた事例2 米国法人の子会社である日本法人の従業員ないし取締役が,親会社である同米国法人から,同社の株式を一定の期間内にあらかじめ定められた権利行使価格で取得することができる権利であるいわゆるストックオプションを付与され,その権利を行使して得た利益が譲渡所得又は一時所得に当たるとして確定申告したのに対し,前記利益は給与所得に当たるとしてされた過少申告加算税賦課決定処分が,違法とされた事例
裁判要旨
1 米国法人の子会社である日本法人の従業員ないし取締役が,親会社である同米国法人から,同社の株式を一定の期間内にあらかじめ定められた権利行使価格で取得することができる権利であるいわゆるストックオプションを付与され,その権利を行使して得た利益につき,前記ストックオプションは,親会社において,前記従業員らが子会社に対し継続して提供する労務により自らが得る利益を認識し,前記従業員らに対して当該労務に対応するものとしての権利行使利益を給付しようとする趣旨で,ストックオプション付与契約に基づき付与されたものであるから,前記利益は,前記従業員らが子会社に対して提供した労務の対価としての性質を有し,給与所得に当たるとした事例2 米国法人の子会社である日本法人の従業員ないし取締役が,親会社である同米国法人から,同社の株式を一定の期間内にあらかじめ定められた権利行使価格で取得することができる権利であるいわゆるストックオプションを付与され,その権利を行使して得た利益が譲渡所得又は一時所得に当たるとして確定申告したのに対し,前記利益は給与所得に当たるとしてされた過少申告加算税賦課決定処分につき,過少申告加算税を課さない場合を定める国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がある場合とは,過少申告加算税が申告納税制度の下における適正な課税を担保するために課せられる行政上の制裁であることに照らして,申告納税者に対し,そのような制裁を課することが相当ではないと認められる具体的な事情が存在する場合をいうと解するのが相当であるとした上,前記利益の課税庁における課税上の取扱いについては,以前は,多くの事案において一時所得に当たるものとして取り扱われていたこと,課税庁からは前記利益が原則として一時所得に当たるとの見解が公表されていたことなどから,前記具体的な事情が存在するというべきであって,前記確定申告には同項の「正当な理由」が認められるとして,前記処分を違法とした事例
- 裁判所名
- 横浜地方裁判所
- 事件番号
- 平成13(行ウ)54等
- 事件名
- 所得税更正処分等取消請求事件,更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求事件
- 裁判年月日
- 平成16年1月21日
- 分野
- 行政
- 全文
- 全文(PDF)
- 裁判所:行政事件裁判例
- 所得税更正処分等取消請求事件,更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求事件|平成13(行ウ)54等
関連するカテゴリー
関連する裁決事例(所得税法>給与所得>譲渡所得>一時所得>国税通則法>過少申告加算税)
- 社会福祉法人に土地を贈与し、国税庁長官に租税特別措置法第40条の規定に基づく承認申請をした場合において、これに対する不承認通知が所得税の法定申告期限までになかったことが国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に該当しないと判断した事例
- 相続を原因とする所有権移転登記に係る登録免許税を不動産所得の必要経費に算入したことに基因する過少申告について正当な理由があるとした事例
- 還付を受けるための申告書を提出した者が更正を受けたときには、その者が消費税の課税事業者でない場合であっても、国税通則法第65条第1項にいう「納税者」に該当するとした事例
- 期限後に提出された申告書は還付請求申告書に該当するので、更正処分により賦課すべき加算税は過少申告加算税になるとして無申告加算税の賦課決定処分の一部を取り消した事例
- 公共事業施行者が誤って発行した公共事業用資産の買取り等の証明書等に基づいて、租税特別措置法第33条の4第1項の規定による特例を適用して確定申告したことが、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
- 確定申告書の提出から1年経過後になされた過少申告加算税の賦課決定処分に不当はないと判断した事例
- 納税相談に際し、請求人は買換えであることを申し出ていない等の状況の下で、担当職員が請求人提示資料中の、登記済権利証添付書類の内容についてまで十分検討しなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する過少申告加算税を賦課しない場合の正当な理由があるとは認められないとした事例
- 申告相談担当職員による誤った指導等はなく、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由があると認められるものがある場合」には該当しないと判断した事例
- 公的年金等に係る雑所得の金額を算出するに際し、いわゆる「雑所得速算表」を誤認した結果、所得税の確定申告が過少申告となった場合において、誤認したのは請求人の過失によるものと認められ、また、原処分庁から指摘があれば訂正するつもりで法定申告期限前に申告書を郵送したところ、期限内に指摘されなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に当たらないとした事例
- 「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない」ことの判断は、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うべきであるとした事例
- 還付申告書の提出による還付金を受け取っていない場合であっても、修正申告により還付金の額に相当する税額が減少する場合は過少申告加算税賦課の対象になるとした事例
- 土地がいわゆる公図混乱地区に所在し、その地積の確定は測量が完了するまではできなかったとしても、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由に当たらないとした事例
- 消費税及び譲渡割に係る加算税の基礎となる税額は、それぞれに係る「納付すべき税額」を計算し、次いで、各々の「納付すべき税額」を合計した額であるとした事例
- 適正な申告を行えなかったことが、申告書の作成を依頼した税理士の過失に起因するとしても、国税通則法第65条第4項の「正当な理由」には該当しないとした事例
- 相続人間において相続財産の帰属について係争中である場合でも、国税通則法第65条“過少申告加算税”第4項の「正当な理由」があるとはいえないとした事例
- 調査開始前に、請求人から関与税理士に従業員の横領行為発覚に伴う修正申告書の作成を依頼し、調査初日、同税理士から調査担当者に対して事実関係を説明するなどした後の修正申告書の提出は、「更正があるべきことを予知してされた」修正申告書の提出には当たらないとした事例
- 修正申告のしょうように至るまでの過程において、原処分庁が当初保有していた情報とは異なる申告漏れが判明した事情がある場合において、修正申告は更正があるべきことを予知してなされたものであると認めた事例
- 更正があるべきことを予知してなされた申告ではないとして過少申告加算税を取り消した事例
- 修正申告書の提出について、国税通則法第65条第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に該当しないとして、これを排斥した事例
- 建造引当権に関する国税庁長官通達は、法令にない取扱いを新たに示したものとすることはできず、法令の不知、誤解は通則法第65条第4項の「正当な理由」があるとは認められず、調査担当者の具体的な指摘前に修正申告をしたとしても同法第65条第5項に該当しないとした事例
※最大20件まで表示
税法別に税務訴訟事例を調べる
当コンテンツは著作権法第13条(権利の目的とならない著作物)の規定に基づき、国税不服審判所:公表裁決事例要旨と裁判所:行政事件裁判例のデータを利用して作成されています。