相続税延納分納額の滞納を理由とした延納許可取消処分が適法であるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2002/06/21 [相続税法][延納及び物納] 請求人は、本件延納許可取消処分に係る通知書に記載の金額にそごがあり、納税者の死命を制する重要な法定文書である本件延納許可取消通知書はずさんなものであるから本件延納許可取消処分は違法である旨主張する。
確かに本件取消し処分に係る通知書の一部に誤りが認められるところ、記載全体に照らせば、上記金額も単なる記載誤りであるこことは明らかであり、当該通知書により通知すべき「延納許可取消額」を含むその他の事項は正しく認識することができると認められるから、当該通知書に上記のような記載誤りがあったとしても、本件取消処分を取り消すほどの重大な瑕疵があったとはいえない。
請求人は、現在のようにバブル崩壊後の地価の大幅な下落の時期に、滞納を理由に延納許可を取消しすることは、過酷な処分であり、税務署長に許容される裁量権の範囲を逸脱した著しく不合理なものである旨主張する。
しかしながら、本件延納許可取消処分に手続上の瑕疵は存しないところ、原処分庁が、請求人からの弁明を受けて、分納税額を早期に完納する見込がないと認定し、本件取消処分を行ったことは相当である。
確かに、請求人の納税のための資金繰りが困難な事情は認められないわけではないが、原処分庁は、これらの事情を考慮して、請求人からの延納条件変更申請に対し、分納期限の延長、再延長又は再々延長の措置をそれぞれ講じていることが認められることから、原処分庁が請求人の資金繰りの実情を無視した過酷な処分を行ったとする請求人の主張には理由がない。
平成14年6月21日裁決
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