事業協同組合の組合員の死亡脱退により生じた持分払戻金に含まれるみなし配当相当額について源泉徴収義務があるとした事例
裁決事例(国税不服審判所)
2006/11/27 [所得税法][源泉徴収] 請求人は、事業協同組合の組合員の死亡脱退により、死亡した組合員の相続人が支払を受ける持分払戻金は、死亡退職金と同様、所得税を課税せずに相続税のみを課税する相続財産として取り扱われるべきであるから、原処分庁が、当該持分払戻金のうち、出資金額を超える部分についてみなし配当であるとして行った源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を取り消すべきである旨主張する。
しかしながら、本件の脱退組合員持分払戻金(以下「本件払戻金」という。)は、組合員D及びE(以下、DとEを併せて「本件各組合員」という。)が死亡によって請求人を脱退し、出資持分の払戻金として支払われたものと認められるが、死亡による脱退であっても社内に蓄積された利益積立金が払戻しにより社外に流出するという点では他の脱退の場合と同じであり、本件払戻金のうち本件各組合員の出資金の額を超える部分の金額(以下「本件金額」という。)は、「みなし配当」に当たると認めるのが相当である。
また、請求人の定款には、組合員が脱退したときには、組合の財産についてその出資口数に応じて算定した金額を限度として払い戻すものとする旨を定めていることから、本件各組合員の死亡時において、本件各組合員は組合を脱退し、出資持分に係る払戻しを受けることが確定するため、その時点において本件払戻金の払戻請求権(以下「本件払戻請求権」という。)が発生したと解するのが相当であるから、本件払戻金は出資者である本件各組合員に帰属すると認めるのが相当である。
なお、本件金額は、本来は「みなし配当」として本件各組合員に支払われるべきものであるが、本件各組合員の死亡によって本件払戻請求権が一旦本件各組合員に帰属し、その後遺産として本件各組合員の相続人に承継されたことにより、当該相続人に支払われたものであり、相続人の相続税と本件各組合員の所得税が二重課税になるというものではない。また、本件払戻金は、相続税法第3条第1項各号に規定する相続又は遺贈により取得したものとみなす財産のいずれにも該当しないから、相続税法上のみなす財産とされる死亡退職金等と同列の財産ということもできない。
平成18年11月27日裁決
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