No.1272 特別試験研究に係る税額控除制度|所得税
タックスアンサー(国税庁)
[平成27年4月1日現在法令等]
1 制度の概要
「特別試験研究に係る税額控除制度」は、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額のうちに特別試験研究費の額がある場合に、その特別試験研究費の額の一定割合の金額をその年分の総所得金額に係る所得税額から控除することを認めるものです。
2 適用対象者
この制度の適用対象者は、青色申告書を提出する個人です。
3 適用対象年分
この制度の適用対象年分は、事業を廃止した日の属する年分以外の年分です。
4 特別試験研究費の額
この制度の対象となる特別試験研究費の額とは、試験研究費の額のうち、国の試験研究機関又は大学と共同して行う試験研究、国の試験研究機関又は大学に委託する試験研究、その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究などに係る試験研究費の額をいいます。
(注) 平成25年4月1日以後に支出する特別試験研究費の額については、試験研究費の 額のうち国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究、国の試験研究機関、大学又は中小企業者に委託する試験研究、その用途に係る対象者が少数である医薬品 に関する試験研究などの係る試験研究費の額をいいます。
また、試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいいます。ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となります。
5 特別研究税額控除限度額
この制度による特別研究税額控除限度額は、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される特別試験研究費の額に特別研究税額控除割合(12%−試験研究費の総額に係る税額控除割合(注1)を乗じて計算した金額です。
ただし、特別研究税額控除限度額が、その年分の事業所得の金額に係る所得税額の30%相当額(注2)から試験研究費の総額に係る税額控除制度により控除された金額を控除した残額を超える場合は、その残額を限度とします。
(注)1 税額控除割合は、10%です。ただし、試験研究費割合が10%未満である場合は次の算式によって計算した割合です。
(算式)
(試験研究費割合×0.2)+8%
※ 税額控除割合に小数点以下3位未満の端数(%表示にあっては、小数点以下1位未満の端数)があるときは、これを切り捨てます。
(注)2 平成22年分から平成24年分まで、平成26年分及び平成27年分においては、30%相当額となります(平成25年分は、20%相当額です。)。
なお、青色申告書を提出する個人が平成21年から平成26年までの各年(事業を廃止した日の属する年を除きます。)の年分において、次の又はに該当する場合には、いずれかの選択適用により上記1の制度による税額控除限度額とは別枠で税額控除ができます。
ただし、これらの税額控除限度額がその年分の事業所得に係る所得税額の10%相当額を超える場合は、その10%相当額を限度とします。<参考参照>
試験研究費の額が次の(1)の比較試験研究費の額を超え、かつ、次の(2)の基準試験研究費の額を超える場合
税額控除限度額=(試験研究費の額−比較試験研究費の額)×5%
試験研究費の額が次の(3)の平均売上金額の10%相当額を超える場合
税額控除限度額=(試験研究費の額−平均売上金額×10%)×超過税額控除割合
(注) 超過税額控除割合は、次の算式によって計算した割合です。
(算式) 超過税額控除割合=(試験研究費割合−10%)×0.2
(注) 試験研究費割合は、次の算式によって計算した割合です。
(算式)
試験研究費割合
=その事業年度の損金の額に算入される試験研究費の額÷平均売上金額
(1) 比較試験研究費の額
比較試験研究費の額とは、適用年前3年以内の各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額を平均した額をいいます。
(2) 基準試験研究費の額
基準試験研究費の額とは、適用年前2年以内の各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額のうち最も多い額をいいます。
(3) 平均売上金額
平均売上金額とは、適用年分及び適用年前3年以内の各年分の売上金額の平均額をいいます。
<参考>
この制度については、増加試験研究費の額が比較試験研究費の額の5%を超え、かつ、試験研究費の額が基準試験研究費の額を超える場合には、増加試験研究費の額に30%(増加割合が30%未満の場合には、増加割合)を乗じて計算した金額の税額控除ができる制度に改正されました(平成27年分から平成29年分)。
(1) 増加試験研究費の額とは、試験研究費の額から比較試験研究費の額を控除した残額をいいます。
(2) 増加割合とは、増加試験研究費の額の比較試験研究費の額に対する割合をいいます。
6 適用要件
この制度の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
7 繰越税額控除限度超過額等の繰越税額控除
この制度による税額控除の適用を受ける場合において、税額控除限度額が所得税額の30%相当額(注)を超えるため税額控除限度額の全部を控除しきれなかったときには、その控除しきれなかった金額については、一定の要件の下に1年間の繰越しが認められます。
(注) 平成22年分から平成24年分まで、平成26年分及び平成27年分においては、30%相当額となります(平成25年分は、20%相当額です。)。
(措法10、10の2、措令5の3、5の3の2、措則5の6、平25改正法附則1)
- 国税に関するご相談は、国税局電話相談センター等で行っていますので、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談をご利用ください。
※ 下記の電話番号では、国税に関するご相談は受け付けておりません。
出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1272.htm
関連するタックスアンサー(所得税)
- No.2010 納税義務者となる個人
- No.1154 政治献金と寄附金
- No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)
- No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
- No.2031 未納付の源泉徴収税額に対する還付手続
- No.5231 適格退職年金契約に係る課税関係
- No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
- No.1280 雇用者の数が増加した場合の税額控除
- No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除
- No.1182 お年寄りを扶養している人が受けられる所得税の特例
- No.2075 専従者給与と専従者控除
- No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
- No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)
- No.1185 市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について
- No.1170 寡婦控除
- No.2030 還付申告
- No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等
- No.1523 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
- No.2240 申告分離課税制度
- No.1493 土地等の財産を時効の援用により取得したとき
項目別にタックスアンサーを調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:タックスアンサーのデータを利用して作成されています。