No.1270 試験研究費の総額に係る税額控除制度|所得税
タックスアンサー(国税庁)
[平成27年4月1日現在法令等]
1 制度の概要
「試験研究費の総額に係る税額控除制度」は、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の一定割合の金額をその年分の総所得金額に係る所得税額から控除することを認めるものです。
2 適用対象者
この制度の適用対象者は、青色申告書を提出する個人です。
3 適用対象年分
この制度の適用対象年分は、事業を廃止した日の属する年分以外の年分です。
4 試験研究費の額
この制度の対象となる試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいいます。ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となります。
5-1 税額控除限度額(平成27年分まで)
(1) 試験研究費の総額に係る税額控除
適用年の事業所得の計算上必要経費とされる試験研究費の額(試験研究費に充てるために他の者から支払いを受ける金額がある場合これを控除します。)×10%(「税額控除割合」といいます。注1)により算出された額
- (注1) 試験研究費割合が10%未満の場合の税額控除割合は次によります。
試験研究費割合×0.2+0.08
- (注2) 算出された税額控除額が事業所得に係る所得税額の30%(平成25年分は20%)を超える場合には、その30%(平成25年分は20%)相当額が控除限度額となります。
(2) 特別試験研究費に係る税額控除
事業所得の計算上必要経費とされる試験研究費の額のうち、特別試験研究費の額については次の額となります。
特別試験研究費の額×(12%-上記(1)で適用された税額控除割合)により算出された額
(注) 税額控除額は所得税額の事業所得に係る30%(平成25年分は20%)相当額から上記(1)で適用された税額控除額を差し引いた残額が限度になります。
(3) 中小企業技術基盤強化税制における税額控除
中小業者(常時使用する従業員数が1000人以下の個人)については、(1)及び(2)の制度に代えて、次の金額により控除を受けることができます。
事業所得の計算上必要経費とされる試験研究費の額(試験研究費に充てるために他の者から支払いを受ける金額は控除する。)×12%により算出された額
- (注1) 算出された税額控除が事業所得に係る所得税額の30%(平成25年分は20%)を超える場合には、その30%(平成25年分は20%)相当額が控除限度額となります。
- (注2) 上記(1)、(2)の制度とは選択適用となります。
(4) 試験研究費が増加した場合等の税額控除
平成27年から平成29年までの各年において、次のイ又はロに該当する場合は、いずれかの選択適用により上記(1)又は(2)の制度による税額控除限度額とは別枠で税額控除ができます。
ただし、これらの税額控除限度額がその年分の事業所得に係る所得税額の10%を超える場合は、その10%相当額を限度とします。
(注) 平成21年分から平成26年分までの各年分においては、上記イは次のとおりとなります。
試験研究費の額が比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合
5-2 税額控除限度額(平成28年以後)
(1) 試験研究費の総額に係る税額控除
適用年の事業所得の計算上必要経費とされる試験研究費の額(試験研究費に充てるために他の者から支払いを受ける金額は差し引きます。)×10%(注1)により算出された額
- (注1) 試験研究費割合が10%未満の場合には、試験研究費割合×0.2+0.08とします。
- (注2) 算出された税額控除額が調整前事業所得税額の25%を超える場合には、その25%相当額が控除限度額となります。
(2) 中小企業技術基盤強化税制における税額控除
中小事業者については、上記(1)に代えて次の算式により算出された額を控除することができます。
適用年の事業所得の計算上必要経費とされる試験研究費の額(試験研究費に充てるために他の者から支払いを受ける金額は控除する。)×12%により算出された額
- (注1) 算出された税額控除が調整前事業所得税額の25%を超える場合には、その25%相当額が控除限度額となります。この税額控除限度額は(1)及び(2)とは別枠です。
- (注2) 中小事業者とは、常時使用する従業員数が1000人以下の個人です。
(3) 特別試験研究費に係る税額控除
事業所得の計算上必要経費とされる試験研究費の額のうち、特別試験研究費の額(上記(1)又は(2)の適用を受ける特別試験研究費の額は除きます。)については、次のイ及びロにより算出された額の合計額
- イ 事業所得の計算上必要経費とされる特別試験研究費の額のうち、国の試験研究機関や大学その他これらに準ずる者と共同し、又はこれらの者へ委託して行う試験研究費の額×30%により算出された額
- ロ 事業所得の計算上必要経費とされる特別試験研究費の額のうちイ以外の金額×20%により算出された額
(試験研究費の額 - 平均売上金額×10%)×試験研究費割合×0.9×0.2により算出された額(注) 算出された税額控除額が調整前事業所得税額の5%を超える場合には、その5%が控除限度額になります。この税額控除限度額は(1)及び(2)とは別枠です。
(4) 試験研究費が増加した場合等の税額控除
平成27年から平成29年までの各年において、次のイ又はロに該当する場合は、いずれかの選択適用により上記(1)又は(2)の制度による税額控除限度額とは別枠で税額控除ができます。
ただし、これらの税額控除限度額がその年分の事業所得に係る所得税額の10%を超える場合は、その10%相当額を限度とします。
(注) 平成21年分から平成26年分までの各年分においては、上記イは次のとおりとなります。
試験研究費の額が比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合
6 税額控除限度超過額の繰越し(平成27年分まで)
「5-1税額控除限度額(平成27年までの年分)」の(1)又は(2)を適用した場合において、税額控除限度額が事業所得に係る所得税額の30%(平成25年分は20%)を超えるため、税額控除限度額の全部を控除しきれなかったときには、その控除しきれなかった金額(以下、「税額控除限度超過額」といいます。)については一定の要件の下に1年間の繰越しが認められます。
(注) 平成28年分以後に生じた税額控除限度超過額については、翌年への繰越しは認められません。
7 用語の説明
- (1) 特別試験研究費の額とは、試験研究費のうち国の試験研究機関や大学又は中小企業者に委託する試験研究、希少医薬品に関する研究(平成28年分以降は、これらのほかに中小企業者から知的財産権の設定又は許諾を受けて行う試験研究も含まれます。)等に係る試験研究費の額をいいます。
- (2) 試験研究費割合とは、「適用年分の試験研究費の額÷平均売上金額」で算出された割合をいいます。
- (3) 平均売上金額とは、「適用年分と適用年分前3年分の売上金額の合計額÷4年」で算出された金額をいいます。
- (4) 増加試験研究費の額とは、「当年の試験研究費の額―比較試験研究費の額」で算出された金額をいいます。
- (5) 増加試験研究費割合とは、「増加試験研究費÷当年の試験研究費の額」で算出された割合をいいます。
- (6) 比較試験研究費の額とは、適用年分と適用年分前3年分の試験研究費の額の合計額÷4年」で算出された金額をいいます。
- (7) 基準試験研究費の額とは、適用年の前年及び前々年の試験研究費のうち、最も多い年の額をいいます。
- (8) 調整前事業所得税とは、事業所得の金額に係る所得税額をいいます。
8 適用要件
この制度の適用を受けるためには、適用を受ける試験研究費の額等、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
(旧措法10、10の2、旧措令5の3、5の3の2、旧措則5の6、平25改正法附則1、平26改正法附則50、措法10、措令5の3、措則5の6、平27改正法附則57)
- 国税に関するご相談は、国税局電話相談センター等で行っていますので、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談をご利用ください。
※ 下記の電話番号では、国税に関するご相談は受け付けておりません。
出典
国税庁ホームページ http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1270.htm
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