納税猶予の対象となる農地(1)|相続税・贈与税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
次に掲げる土地は、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に該当しますか。
(1) 温室の敷地
(2) 畜舎の敷地
(3) 農作業場の敷地
(4) 農業のかんがい用ため池
(5) 養魚に利用している土地
(6) 植木の植栽されている土地
【回答要旨】
(1) 温室の敷地
贈与時(相続開始時)において温室の敷地となっている土地は、その土地を従前の農地の状態のまま耕作を継続している場合には農地に該当し、その敷地を農地以外のものとして直接耕作の用に供しない場合、例えば、温室の敷地をコンクリート等で地固めするなど農地以外のものとした場合には、たとえ、その上に土を盛って作物を栽培しているときであっても、温室の敷地は農地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たりません。
(2) 畜舎の敷地
贈与時(相続開始時)において畜舎の敷地となっている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たりません。
(3) 農作業場の敷地
贈与時(相続開始時)において農作業場の敷地となっている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たりません。
(4) 農業のかんがい用ため池
贈与時(相続開始時)において農業のかんがい用ため池の用に供されている土地は、農地法第2条第1項に規定する農地又は採草放牧地に該当しないことから、準農地に該当する場合を除き、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たりません。
(5) 養魚に利用している土地
農地には、現に耕作されている土地のほか、その現状が耕作し得る状態にあり、通常であれば耕作されているものが含まれるので、贈与時(相続開始時)において水田を従前の状態のままで水を張って一時的に稚魚を飼育している場合には、当該土地は農地に該当することから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たります。
ただし、当該土地を通常の水田として利用するのに必要な程度を超えたけいはん(畦畔)の補強、本地の掘削などをして養魚池とした場合には、当該土地は農地に該当しないことから、その特例の対象となる農地に当たりません。
(6) 植木の植栽されている土地
贈与時(相続開始時)において植木を育成する目的で苗木を植栽し、かつ、その苗木の育成について肥培管理を行っている土地は、農地に該当することから、贈与税(相続税)の納税猶予の特例の対象となる農地に当たります。
ただし、既に育成された植木を販売目的で販売するまでの間一時的に仮植しておく土地は、たとえ、その間その商品価値を維持するための管理が行われているとしても、農地法第2条第1項に規定する農地に該当しないことから、その特例の対象となる農地に当たりません。
(注) 納税猶予の適用を受けた後において、特例農地等を温室の敷地、畜舎の敷地、かんがい用ため池及び農作業場の敷地として利用するためにその農地等を農地等以外のものにした場合であっても、その転用は措置法令第40条の6第9項(措置法令第40条の7第8項)に規定する事務所、作業場、倉庫その他の施設又は使用人の宿舎の敷地にするための転用に該当するので、猶予期限の確定事由に該当しないことに留意してください。
【関係法令通達】
租税特別措置法第70条の4第1項、第70条の6第1項
租税特別措置法施行令第40条の6第67項、第40条の7第72項
租税特別措置法関係通達70の4−1、70の6−1
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/sozoku/18/13.htm
関連する質疑応答事例(相続税・贈与税)
- 被相続人の直系卑属でない者が養子となっている場合の相続税の2割加算
- 特定障害者扶養信託契約の「特定障害者の居住の用に供する不動産」の範囲
- 老人ホームへの入所により空家となっていた建物の敷地についての小規模宅地等の特例(平成26年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する場合の取扱い)
- 認定死亡と相続開始があったことを知った日
- 相続税法第15条第3項の規定により実子とみなされる養子の範囲
- 加害者が死亡した場合における損害賠償金についての債務控除
- 土地区画整理事業に係る土地
- 相続時精算課税適用財産について評価誤り等が判明し修正申告を行う場合の特別控除の適用
- 住宅取得等資金の贈与を受けた者が年の中途で出国した場合の住宅取得等資金の贈与の特例の適用の可否
- 特例適用農地の譲渡代金の一部について代替農地の取得の見積承認申請があった場合
- 所有権留保契約に基づいて割賦購入された住宅を相続により取得した場合
- 特定農業団体に対し農作業の一部を委託した場合
- 未成年者が農業相続人となった場合の農業所得の申告
- ハワイ州に所在するコンドミニアムの合有不動産権を相続税の課税対象とすることの可否
- 納税猶予の適用を受ける場合の贈与者の農業に従事していた期間
- 2人以上の者が農地等を共有で相続した場合の納税猶予の特例の可否
- 限定承認をした後に退職手当金が支給された場合の債務控除
- 変額年金保険契約に基づく年金に関する権利の評価
- 被相続人の共有する土地が被相続人等の居住の用と貸家の敷地の用に供されていた場合の小規模宅地等の特例
- 障害者非課税信託申告書を提出した後に特定障害者に該当しないこととなった場合の贈与税の取扱い
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。