青年海外協力隊に現職参加させた場合の住宅借入金等特別控除の再適用の可否|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
給与所得者A(独身)は、勤務先であるB社の承認を受けて、2年間の予定で青年海外協力隊に現職参加することとなりました。
ところで、Aは、2年前に住宅を取得し、住宅借入金等特別控除の適用を受けていましたが、青年海外協力隊への参加は、租税特別措置法第41条第11項に規定する「給与等の支払をする者からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由」に該当し、帰国後、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができますか。
なお、B社には労使協議に基づいた現職参加に係る休職制度が確立されています。
(B社の現職参加に係る休職制度の概要)
1 適用対象者:原則として青年海外協力隊参加後、直ちに復職する者
2 給与:休職期間中の基準賃金、家族手当及び賞与の全額(青年海外協力隊参加直前の額に固定)を支給
3 社会保険料:本人負担分は本人が負担(会社の負担は事業主負担分のみ)
4 勤続年数:全期間を退職金の勤続年数に通算
5 復帰後の資格・賃金:同年時入社者の平均を適用
【回答要旨】
照会の場合は、Aが帰国後、再び家屋を居住の用に供するなど所定の要件を満たすときには、住宅借入金等特別控除の再適用が認められます。
住宅借入金等特別控除は、その家屋を居住の用に供しなくなった日の属する年以降については、再度、その家屋を居住の用に供した場合であっても、原則として適用することができませんが(租税特別措置法第41条第1項)、給与等の支払をする者からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因してその家屋を居住の用に供しなくなったことにより住宅借入金等特別控除の適用を受けることができなくなった後、その家屋を再び居住の用に供した場合には、住宅借入金等特別控除の再適用が認められます(租税特別措置法第41条第18項)。
ところで、青年海外協力隊の現職参加は、本人の申出により休職などの形で所属先の身分を残したまま青年海外協力隊に参加する制度ですが、民間企業の従業員が現職参加できるか否かは、それぞれの企業の対応次第となっています。また、参加する従業員に対する処遇についても各企業によって異なります。
そこで、住宅借入金等特別控除の再適用に当たっては、現職参加が「転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由」に該当するかどうかが問題となりますが、次のいずれにも該当するような場合には、実質的には、企業が本来の勤務場所での勤務を免除し、一定期間、他の者の下で勤務させることと同様の効果を持つことから、一種の出向に類するものと考えられます。したがって、このような場合には、実質的には業務命令によるものと同様であり、「その他これに準ずるやむを得ない事由」に該当するものとして取り扱って差し支えありません。
(1) 所属企業の承認を得て現職参加するものであること
⇒本人の申出によるとしても、最終決定権は企業が有する。
(2) 派遣期間中も所属企業から給与が支払われること
⇒単なる自己都合による休職であれば、企業が勤務の対価としての給与を支払う理由はなく、給与を支払うことは、企業としての社会貢献と捉えられる。
(3) 派遣期間終了後、復職が保障されていること
⇒引き続き従業員としての地位を有することが明らか。
【関係法令通達】
租税特別措置法第41条第18項
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/06/42.htm
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