生計を一にする親族の有する資産に係る特別償却|所得税
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
租税特別措置法第12条《特定地域における工業用機械等の特別償却》に規定する特定地域において旅館業を営む青色申告者Aが、同条に該当する旅館業の用に供する建物及び附属設備(以下「旅館業用建物等」といいます。)を、生計を一にする親族Bとの共有(持分1/2ずつ)により取得し、Aの事業の用に供しています。
この場合、Bの持分を含む旅館業用建物等の全部について、同条に規定する特定地域における工業用機械等の特別償却の適用を受けることができますか。
【回答要旨】
Aの持分についてのみ特別償却ができます。
所得税法第56条《事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例》では、事業主が生計を一にする親族に対して支払う対価は必要経費として認めず(対価の支払を受ける親族の所得もないものとされます。)、その親族のその対価に係る所得計算上必要経費に算入されるべき金額があれば、これを事業主において必要経費に算入する旨規定しています。
減価償却資産の普通償却費は、所得税法上強制償却となることから(所得税法第37条、第49条)、各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額に該当し、事業主の事業所得等の金額の計算上必要経費に算入することになります(所得税基本通達56−1)。
これに対し「特定地域における工業用機械等の特別償却」は、青色申告者である事業主自身が、特定地域内において特定の事業の用に供する一定の減価償却資産の取得等をして、これをその事業の用に供した年分において、所定の限度額の範囲内で必要経費として計算した場合に適用されるものであり(租税特別措置法第12条第1項)、普通償却費のように強制償却として必要経費に算入されるべきものではありません。
したがって、普通償却費については、Bの持分を含む旅館業用建物等の全部について、Aの事業所得の金額の計算上必要経費に算入することになりますが、特別償却については、Aの持分についてのみ必要経費に算入することができます。
【関係法令通達】
所得税法第37条、第49条、第56条、租税特別措置法第12条、所得税基本通達56−1
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/14.htm
関連する質疑応答事例(所得税)
- 役員に付与されたストックオプションを相続人が権利行使した場合の所得区分(6か月以内に一括して行使することが条件とされている場合)
- 事業に至らない規模の不動産貸付において未収家賃が回収不能となった場合
- 「同居」の範囲(長期間入院している場合)
- 被害者参加人に支給される被害者参加旅費等
- 使用貸借させている住宅の損失
- 米国支店に出向中の従業員が税制適格ストックオプションを行使して取得した株式を譲渡した場合
- 居住を開始した年の途中で転勤命令により転居し、その後に再居住した場合の住宅借入金等特別控除の適用の可否
- 青年海外協力隊に現職参加させた場合の住宅借入金等特別控除の再適用の可否
- オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療に係る費用の医療費控除
- 利息や割賦事務手数料等
- 共有持分を追加取得した場合の住宅借入金等特別控除
- 旧定率法を選定していた者が新たに資産を取得した場合
- 底地の購入に係る借入金
- 生存給付金付定期保険に基づく生存給付金に係る一時所得の金額の計算
- 入院のための寝具や洗面具等の購入費用
- 投資顧問会社に支払う年会費及び成功報酬
- 門や塀等の取得対価の額
- 条例に基づき支給する「失業者の退職手当」の取扱い
- 湯治の費用
- 権利行使価額を「新株予約権発行の取締役会決議日の前日の終値」とした場合の税制適格の判定
項目別に質疑応答事例を調べる
当コンテンツは、国税庁ホームページ利用規約に基づき、国税庁:質疑応答事例のデータを利用して作成されています。