投資一任口座(ラップ口座)における株取引の所得区分|譲渡所得
質疑応答事例(国税庁)
【照会要旨】
A証券会社は、「投資一任契約」に係る業務の認可を受けた投資顧問業者で、国内上場株式への分散投資を目的とする投資一任口座の取扱いを開始しました。
この投資一任口座は、顧客がA証券会社との間で締結する投資一任契約に従って資産運用するための専用口座で、投資一任契約により、A証券会社は投資資金の運用に関する投資判断とその執行に必要な権限の委任を受けて顧客に代わって資産運用を行う一方、顧客は投資顧問報酬として固定報酬及び成功報酬を支払うこととなっています。なお、この投資一任契約の契約期間は1年間です。
この場合、この投資一任口座における国内上場株式の売買取引から生じる所得区分はどのようになるのでしょうか。
【回答要旨】
この投資一任契約に係る成果は顧客に帰属することとなりますので、それが株式等の譲渡によるものである場合には、株式等の譲渡による事業所得、雑所得又は譲渡所得のいずれかの所得として分離課税の対象となりますが、これらの所得のいずれに該当するかは、株式等の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定することとしています(措通37の10-2前段)。
この場合、株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、上場株式等は流動性が高いことから「営利・継続取引」される可能性が高いとして事業・雑所得に区分しうるものとする一方、非上場株式等は流動性が低いとして譲渡所得に区分し、上場株式等であっても、その株式等の所有期間が1年超にわたるものの所得の実現は保有期間中の値上り益の実現とみて、譲渡所得に区分するものとしています(措通37の10-2後段)。
この投資一任契約は、所有期間1年以下の上場株式の売買を行うものであり、また、顧客が報酬を支払って、有価証券の投資判断とその執行をA証券会社に一任し、契約期間中に営利を目的として継続的に上場株式の売買を行っていると認められますので、その株式の譲渡による所得は、事業所得又は雑所得に当たるものと考えられます。
【関係法令通達】
租税特別措置法第37条の10
租税特別措置法関係通達37の10-2
注記
平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。
出典
国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/joto/22/05.htm
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